高齢者福祉制度
医療が高度化・普及し、衛生状態・栄養状態の改善するにつれて、平均寿命が大幅に伸びる一方で少子化が進み、社会における高齢者層が拡大した。 先進国の多くも高齢者人口の割合は増えてきているが、日本は先進国のどの国よりも早く高齢者人口が増加している。高齢世帯・単独高齢世帯も拡大しており、高齢者が2人または1人で生活していて、孤立化する可能性がある。 高齢者の生活上の問題で特に大きいのは、健康問題・経済問題・精神的問題である。 加齢による身体の衰え、収入の低下・不安定化、年金別の格差、配偶者・知人の死亡・孤立化、新たな人間関係の構築の困難さが挙げられる。 高齢者福祉の歴史 ① 生活保護法(1946年) …生活に困窮している高齢者に対して、居宅か養老施設への入所による最低生活保障の確保をする。 しかし、都市と地方の人口動態の変化、家族構成の変化(核家族)、高齢者人口、世帯の増加により、①の法だけでは高齢者福祉対策に様々な不備が生じた。 ② 老人福祉法(1963年) 高齢者を対象とした福祉(老人福祉)が独自の福祉領域としてこの法律のもとに確立した。 しかし、特別養護老人ホームなどの施設整備の問題や、高齢者の医療費負担の問題があり、きちんと福祉が提供されていない実情があった。老人医療費支給制度の導入もあったが、必要がないのに薬や検査を行ったり(検査薬漬け問題)、入院させられる(社会的入院問題)といったミスマッチもおこった。 この時は経済も成長しており、まださほどミスマッチが大きな問題とはならなかった。 ③ 老人保健法(1982年) ところが、政府の財源も苦しくなってくると、いつまでも高齢者を無料で入院させることが出来なくなり、法改定をせざるを得なくなった。 老人医療費支給制度→70歳以上の高齢者への医療事業の開始 また、入院から在宅へ移行させる為の中継地点として老人保健施設が創設された。 入院と在宅との中間的施設としての位置づけだったが、高齢者の方はむしろ老人保健施設のほうにずっと居座ってしまい、在宅移行がより困難になってしまう。 以下、ゴールドプランでは、③の流れをくんで、いかに医療の負担を少なくし、高齢者に医療機関外の場所で健康で自立した生活を送ってもらうかに主眼が置かれている。 ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10カ