免疫の働き
<免疫とは?>
人は絶えず様々な外的環境にさらされているが、意図するしないに関わらず体内に異物が侵入する可能性がある。
体内に生体の正常細胞以外の物質、細胞、生物が侵入した場合の為に、それだけを排除する為の防御機構が個体には備わっている。
これを免疫Immunitusと呼ぶ。
<免疫の分類>
免疫は、個体に生来備わっている自然免疫と個体が成長の過程で獲得していく獲得免疫が存在する。
自然免疫は、異物が侵入した際に第一に組織内で排除しようとする。組織球(マクロファージ、好中球、好塩基球など)がそれにあたる。これは異物の種類に関わらず機能するものなので、非特異的防御機構と言われる。
それに対し、獲得免疫は、母体から授かったり、個体が新たな抗原に対処する中で獲得していく免疫である。
これは、それぞれの抗原に対して、特異的に反応するため、特異的防御機構と言われる。
また、獲得免疫において、特定の抗原に対して特異的に免疫が働くことを免疫応答とよび、大きく分けて液性免疫応答と細胞性免疫応答に分かれる。
では、次に具体的にどのようなプロセスで免疫が機能しているのかを述べる。
<自然免疫の仕組み>
免疫はどのようにして身体を守っているのか?
人は絶えず様々な外的環境にさらされているが、意図するしないに関わらず体内に異物が侵入する可能性がある。
体内に生体の正常細胞以外の物質、細胞、生物が侵入した場合の為に、それだけを排除する為の防御機構が個体には備わっている。
これを免疫Immunitusと呼ぶ。
<免疫の分類>
免疫は、個体に生来備わっている自然免疫と個体が成長の過程で獲得していく獲得免疫が存在する。
自然免疫は、異物が侵入した際に第一に組織内で排除しようとする。組織球(マクロファージ、好中球、好塩基球など)がそれにあたる。これは異物の種類に関わらず機能するものなので、非特異的防御機構と言われる。
それに対し、獲得免疫は、母体から授かったり、個体が新たな抗原に対処する中で獲得していく免疫である。
これは、それぞれの抗原に対して、特異的に反応するため、特異的防御機構と言われる。
また、獲得免疫において、特定の抗原に対して特異的に免疫が働くことを免疫応答とよび、大きく分けて液性免疫応答と細胞性免疫応答に分かれる。
炭疽菌(オレンジ)を好中球(黄色)が貪食している様子(Wikipediaより) |
では、次に具体的にどのようなプロセスで免疫が機能しているのかを述べる。
<自然免疫の仕組み>
免疫はどのようにして身体を守っているのか?
体内では、組織球(好中球・単球/マクロファージ)が異物を分解し貪食することで、異物から身体を守っている。
また、抗原刺激を受けて肥満細胞が脱顆粒を起こし、血管透過性が亢進し、炎症を促進させる。他にも、様々な炎症反応を促進させる因子があるが、おおまかには血管透過性因子と白血球走化性因子とに分かれる。
・血管透過性因子
:ヒスタミン・セロトニン←肥満細胞・血小板
:キニン系←血漿成分のキニノーゲン(ブラジギニン・メチオニン)
:プロスタクランジン←アラキドン酸の代謝産物
(内皮・血小板・好中球のリン脂質由来)
:IL-6←各種細胞(炎症に関わる細胞)
:ロイコトリエン←アラキドン酸の代謝産物
:補体・プラスミン←血液中
白血球走化性因子
:ケモカイン(MCP1・IL-8)
:TNF/IL-1…内皮細胞の接着分子の発現
血管内の白血球や、リンパ球にも働いてもらうことで異物を直接・間接的に攻撃し、排除する。ここで獲得免疫が力を発揮する。
リンパ球が免疫として働く為には免疫応答という一連のプロセスが関わってくる。まず、免疫応答する為には、異物が侵入したという抗原刺激を受容しなければいけない。
この抗原刺激に寄ってリンパ球のクローンが生成され、一次応答を行う。そして、次に同じ抗原刺激があった場合により強い免疫反応(二次応答)を行うようになり、病気を経験するにつれて、獲得免疫の働きが強くなる。
この獲得免疫は、T細胞、B細胞がこれを担っており、骨髄から産生され、それぞれ胸腺(Thymus)、脾臓を経由して、末梢リンパ組織で細胞性免疫、液性免疫となって働く。
(NK細胞も一部の腫瘍細胞や感染細胞を殺す役割を持つがレセプターが発現しておらず、相手の認識機構ははっきりしていない。)
細胞が直接攻撃する細胞性免疫は、キラーT細胞(細胞傷害性免疫)がレセプターを介して異常細胞をアポトーシスに誘導し、液性免疫は、B細胞が分化した形質細胞が、IG(Immunitus Globline:免疫グロブリン)を分泌し、抗原と結合して複合体を作り無毒化する。そして、最初の抗原刺激を認識する要となるのが、抗原提示細胞(APC)である。
抗原提示細胞は主に、マクロファージ、B細胞、とりわけ最も提示能力の高い樹状細胞があり、各組織に異なる呼称で存在している。皮膚のランゲルハンス細胞、輸入リンパ管のベール細胞、筋肉の間質細胞、肝臓のクッパー細胞、胸腺リンパ節の相互連結性嵌入細胞、脳内のミクログリア細胞がある。
体内に侵入した微生物等の抗原が、まずマクロファージなどの抗原提示細胞内に取り込まれ、処理された抗原ペプチドがマクロファージの表面にあるMHC(主要組織適合抗原系:ほとんどの細胞表面に存在する)にはさみこまれ、T細胞に抗原として提示される。
(樹状細胞の抗原提示能力を利用し、がん細胞から生成した溶解産物・ライセートを樹状細胞に取り込ませることで、がん細胞への対抗能力を高める樹状細胞ワクチン療法というものがあるらしい。)
T細胞やB細胞にはサイトカインレセプターとT細胞レセプター(TCR)があり、これらがサイトカインや抗原ペプチドを受容することで免疫が活性化する。ここでまず、ヘルパーT細胞がMHCにはさみこまれた抗原ペプチドとMHCクラスⅡを受容することで、CD4+ヘルパーT細胞が活性化される。
次にTh1細胞優位か、Th2細胞優位の活性化に分かれるが、Th1細胞優位の場合、ヘルパーT細胞から分泌されたサイトカイン(IL-2、IFN-γなど)がレセプターを経由し、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)を活性化させる。このとき、ウイルス感染細胞などの表面上の自己MHCクラス1分子に結合した抗原をキラーT細胞が認識してウイルス感染標的細胞を攻撃する。
キラーT細胞による攻撃の仕方には二つあり、①パーフォリンにより細胞膜に穴を開け、その穴にグランザイムが侵入し、標的細胞の一連の酵素を活性化させアポトーシスを誘導させる。②感染細胞上のFas分子(サイトカインの一種)にキラーT細胞のFasリガンドが結合しアポトーシスを誘導させる。
一方Th2細胞優位の場合、ヘルパーT細胞から分泌されたサイトカイン(IL-4 IL-5 IL-6など)がレセプターを経由し、B細胞の分化、増殖を促進させる。これにより末梢リンパ節で形質細胞へと分化し、抗体を産生する。
抗体の働きは、抗原と結合することにより、無毒化(中和反応)したり、マクロファージに貪食させやすくしたりする(オプソニン化)。また、補体を活性化させたり、MAC(menbrane attack complex)により細胞膜に穴を開けて細胞を殺す。
<免疫機能の障害>
免疫応答が過剰に働いてしまう場合、アレルギーが発症し、免疫応答が機能しない場合は免疫不全となる。また、通常個体を構成する細胞に対しては免疫応答しない仕組み(免疫寛容:トレランス)が働いているが、これが破綻すると、免疫系が自己の組織や細胞を攻撃し、自己免疫疾患を引き起こす。
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