下肢の関節

骨と骨との連結部を関節と呼び、いくつかの種類に分かれる。

①可動関節:骨と骨とが滑らかに動きうる関節。

・球関節:多軸性の関節でちょうどボールが大きさの合ったくぼみにはまってくるくると動いているように、あらゆる方向に動くことが出来る。(肩関節)
・蝶番関節:1軸性の関節で、ドアのちょうつがいのように1方向に屈伸出来る。(膝関節)
・車軸関節:1軸性の関節で、車の車軸のように1方向の回転が出来る。(環軸関節)
・鞍関節:2つの軸の周りに回転が出来る。(手根中手関節)
②半関節:わずかしか動かない関節
③不動関節:頭蓋骨の間の縫合のように、骨と骨が軟骨や丈夫な結合組織を介してつながっていて、動くことが出来ない関節のこと。

その中でも、特に今回は下肢の関節について述べる。下肢の動きは大腿(ふともも)の運動、下腿(ふくらはぎ)の運動、足の運動に分かれ、曲げ伸ばし(屈曲・伸展)とひねる動き(内転・外転)、歩行や直立の際の姿勢維持もある。

大腿の運動は股関節、下腿の運動は膝関節、足の運動は足の関節が絡んでいる。

股関節:骨盤前面の寛骨臼と大腿骨頭の間の臼状関節(球関節の一種)。関節窩が深いため、動きはやや制限されるが、荷重に耐えられる構造をとっている。

※先天性股関節脱臼:新生児から寛骨臼形成不全のために脱臼を起こし易い人もいる。股関節を伸ばした状態でおむつをあてると発生率が増える。

膝関節:大腿骨、脛骨、膝蓋骨からなる複関節で最大の関節。内外の関節、半月が輪状に関節窩を囲み、くぼみを作る。

主に構成される要素としては以下の3つがある。

①膝蓋骨:大腿骨の前面をおおう大腿四頭筋の腱の中に含まれる扁平な三角形の種子骨で、関節の前面を補強する。

②関節半月(内側・外側):大腿骨と脛骨との間に介在する軟骨性の半月。多くの靭帯で固定されていて、関節面の接触を均等にする役割を果たしている。

大腿骨下端の半月状の部位が凸面に対して脛骨上端は平坦である。両骨の不適合を内側・外側半月で補正している。




前面から見た様子。二つのこぶのような内外側顆が、脛骨の平坦部をスライドするように動く。








人工膝関節もこれを模して、下端を凸面に上端を平坦にしているが、どうしても片側だけ軟骨プラスチック部が擦り減り使い物にならなくなってしまうケースが多かった。(写真は大阪大学運動器バイオマテリアル学講座HPより)





ところが、近年では、X線CT動画の画像に対し、影絵のように濃度から3Dモデルを作成し、実際の関節の動きを再現することで、軟骨部位が擦り減らないような治療技術が開発されている。

3Dモデリングし、関節の動きを再現する(阪大運動器バイオマテリアル学講座HPより)


・大腿骨⇄膝関節⇄脛骨・膝蓋骨




・膝蓋骨⇄大腿骨膝蓋面・大腿骨内外側顆(関節顆)⇄関節窩(脛骨関節面)


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