斜め読み:コロナウイルス(COVID-19)に対するCT検査の考え方について

AuntMinnieというアメリカの診療放射線関係のメディアによれば、ACR(米国放射線学会)がコロナウイルス(COVID-19)に関するステートメントを3月初旬に出していた。

ACR recommends sparing use of CT for COVID-19(March 11)
https://www.auntminnie.com/index.aspx?sec=sup&sub=cto&pag=dis&ItemID=128426


要約すると、以下の通り

・スクリーニングにCTはあまり有効じゃない。(Clinicians should not use CT as a first-line or screening test to diagnose COVID-19.)

・診断がついて入院してる患者さんの経過観察で使った方が良い。(Clinicians should reserve CT use for hospitalized, symptomatic patients with specific clinical indications for CT.)

・患者をスキャンする際は感染源を増やさないように適切な処置をすべきだ。(Facilities should apply appropriate infection control procedures when scanning patients.)

・必要に応じてポータブル撮影も必要かも(Facilities may consider using portable radiography units when x-ray is medically necessary.)

・撮影したら撮影機器は滅菌し、1時間は撮影室の使用禁止すべき(換気率による)
(facilities consider not only thoroughly cleaning medical imaging machines and devices but also suspending use of imaging rooms for roughly one hour between imaging infected patients, depending on the room's air exchange rate.)


しかし、新型コロナの患者さんが増えてきたことで、診断がついてない人の中にもコロナウイルス(COVID-19)の可能性が出てきた。その際、どうやってコロナかそうでないか鑑別するかについて、最近RSNAが記事を出していた。

Radiological Society of North America Expert Consensus Statement on Reporting Chest CT Findings Related to COVID-19. Endorsed by the Society of Thoracic Radiology, the American College of Radiology, and RSNA.(Mar.25)
https://pubs.rsna.org/doi/10.1148/ryct.2020200152

それによると、特徴的なサイン(Typical appearance)は以下のようだという。
(医学用語的におかしいところがもしかしたらあるかも知れないので、上の原著を確認してください)

・肺の両側、末梢にすりガラス陰影(GGO)、浸潤影が映る時と映らない時があり、場合によっては、小葉が線状に映る(crazy-paving)

・丸い形態をした多病巣性のすりガラス陰影(GGO)、浸潤影が映る時と映らない時があり、場合によっては、小葉が線状に映る(crazy-paving)

・多発性リング状陰影(Reversed halo sign)または器質性肺炎の所見(進行期に見られる)


ただし、初期では、特徴的な所見がCTで見られず、鑑別には向かなかったり、COVID-19単体でなく、他の肺疾患と合併した時は、違った見え方もするよ、と書いてある。それを踏まえて、主に4つの見え方の分類をまとめている。

また、RT-PCRという検査と比べると、特異度、感度が高いように見えるが、実際のところはまだよく分からないから鵜呑みにし過ぎない方が良いかもね、ということも書いてあった。

でも、肺炎が進行している人は、明らかにやばそうな画像だなって分かる。


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