今の職場を辞めたいと思ったら

知り合いの結婚式二次会で、「私、技師になりましたよ!」と言ってくれた友達がいました。まずは無事に就職出来て良かったなと思いましたが、今の仕事先が激務でいつまで今の仕事場で働くかも考えているとのことでした。

CTとMRIの検査をひたすらこなしていく医療機関のようで、その分野の検査のスキルは身につくが、次にどのモダリティをやりたいかなどは、まだ深く考えられていないとのこと。


<今の職場で活躍出来ているなら、まず3年くらい頑張ったらいい>

キャリアについて深く考えられないのは、新卒1年目では当たり前だから、気にしなくていいんじゃないかなと思います。むしろ、今その現場で活躍出来ているのなら、まずは仕事を任せてもらえているなら、3年くらいは頑張るといいことがあるんじゃないかと思います。

「3年」にこだわる必要がない、というのは本人がどんなキャリアを歩みたいかによります。採用側からすれば、「3年勤めている」ということは履歴書の一つのポイントになる訳です。定着率が高いかどうか、すぐ離職しないかどうかは大事ですからね。

各モダリティの基礎的な検査をまず「こなす」ことが出来る人って貴重です。自頭が良くて色々知っていても、現場には色んな人が来て、時間内に限られた人数で撮影をこなさないといけないので、てきぱき動ける人は戦力として欲しいと思います。

前職の先生・上司も最初が激務の職場でもまれて、8年くらいかけて一通りモダリティを担当してから、たまたま自分が活躍出来るモダリティを見つけて、業界で有名になったと聞きます。本当に色々な企業の方が営業に来られ、新しい技術を積極的に取り入れていました。

最初の経験がベースになって、次のキャリアへステップアップ出来たのです。

専門学校の先生にも「まず5年は臨床経験した方がいい」と言われましたが、それは正しいと思います。

<もし、そこまで頑張れないなと感じたら>

しかし、そこまで頑張れない、もう限界だという人もいるでしょう。例えば人間関係。離職の原因の大半は人間関係にあると言いますが、技師の職場は本当に人数が限られているので、毎日その人達と顔を合わせるのか、と思うと嫌な気持ちになるのだとしたら、辛いでしょう。

これは、技師に限らず、どの職種でもありうることですが、技師は特に転属もなく異動もないので、違う同僚と仕事をするようになる可能性が低いです。

だから、最初の職場の人間関係にもし恵まれなくて、3年経たないけど、本当に辛いと思っていたとしたら、それは仕方がないことです。

また、「自分は技師になりたいと思っていたけど、向いていなかったのではないか」という悩みもあるかも知れません。

もし、そう思っているのであれば、まずは自分がどこまでやれるか試してみましょう。特に患者接遇をきちんとやってみて下さい。きっと同じ患者さんのことは覚えていて、どんな経過を辿っているのかよく理解して声かけをすれば、それだけでも患者さんから喜ばれると思います。

これは口が達者である必要は全くなくて、傾聴のスキルを磨けば基本的に誰でも出来ることだと思います。

何年か経過してから、臨床以外で技師の知見を活かす仕事に就くという選択肢もあります。例えば、営業スキルがあるならメーカーに転職する、ライティングスキルがあるならRad fanやInnervisionなどの雑誌に転職するということも考えられます。よく聞く名前以外にもPACS,RIS,HISなども含めると色々あります。

メーカーも意外と技師さんが少ないですから、医療機関以外に行けば、自分がスペシャリストになれるのです。

<いい意味でチャラい人が技師に向いている>

偏見かも知れないのですが、チャラい人が技師に向いているのではないかと思いました。これは、コミュニケーションスキルが高く、友人に対しても飲み会を開いた時も色々気遣いと仕事が出来る人が多いからです。これは勉強のスキルとはまた違うんですね。

専門学校の同期と話していた時に、大変な検査ほどテンション上がる、と真顔で言ってたりするのを聞くと、そういう人が向いているんだろうなと思います。要領と自頭が良くてあまり考え込まなくても身体が先に動くタイプですね。いい意味でチャラい人が向いている気がします。ソースは私です。利益相反はあるんだかないんだか分かりません。

<三次→二次救急が良いのでは>

技師としてキャリアステップする為には、激務→大きめの病院で勤務するというのは王道のパターンだと思います。三次救急で揉まれてから、二次救急で比較的落ち着いている病院に転職するのはありですね。名前が知れた国立、都立系の病院はそういう意味で狙い目で、私立の病院は、急性期医療で稼ぐ為に結構忙しい、という印象があります。

実習の時に転職組の技師さんに聞いた時、「前の職場と比べると本当に楽だ」ということを言っていたので、新卒で激務に行くのは正解なんだろうなと思いますね。20代の頃に沢山汗をかいて活躍出来る足場固めをすると楽になると思います。

<最後に>

実は自分は2年で技師を辞めてしまって、全然違う仕事に就いて、1年が経とうとしています。

今度書こうと思いますが、技師として活躍することは出来ないと判断したからです。もっと頑張れたのではないか、甘えだったのではないか、という気持ちもあったけれど、最後は自分の能力を客観的に評価して、「無駄な努力は人生の浪費だ」という結論に至りました。

ただ、様々な技師さん、(元、現)メーカーの方にお会いすることも沢山あって、貴重な体験、出会いが沢山ありました。人への向き合い方も患者さんから沢山学ぶことがありました。そんな有形無形のスキルが今の仕事でも生かされているなと感じます。

GEユーザー会の方に、知人経由で質問を学生時代に送ったことがあり、技師になってから再会するということがありました。「そうか君だったのか〜」という話をして、学生時代の約束を果たしたようですぐに裏切ってしまったようでもありました。

ただ、その方から「過去を後悔しても仕方ない。これからのことを考えよう!」と言って頂き、後ろめたさを感じなくても済みました。

今の仕事は何とか頑張れていて、1年経ってやっと落ち着いてきたので、これからまた自分が得てきたものの恩返しのようなことがブログからできたらいいなと思います。

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