骨密度検査の意義(加筆有り)

かつて、海に生きていた魚は身の回りにカルシウムが多い環境に生息しており、カルシウム過剰にはなっても不足することは無い環境だった。その為カルシウムを排泄するホルモンは発達していた。

ところが、陸に上がると普段なかなかカルシウムを摂取するタイミングはなかなか無い。陸の生き物も魚の頃のホルモンの仕組みを受け継いでいるのか、カルシウムが不足する傾向にあるようです。

骨密度検査をするだけでは、骨粗しょう症なのか分かりません。採血検査を行い、リンやカルシウムその他の血液成分を調べることで、骨密度が変動する他の疾患が無いかを調べます。

副甲状腺の疾患などがあっても、カルシウムの代謝が変化するからです。

なので、患者さんのワークシートをチェックする際、骨密度検査の他に採血検査がある場合があるのは、そういうことです。

また、CKD-MBDといって、透析をやられているような慢性腎不全の患者様の場合、骨代謝に異常が出ることがあり、骨密度を調べる時があります。

CKD-MBDガイドライン(日本透析医学会雑誌 『透析会誌 45』 :p.301〜356,2012:クリックするとPDFがダウンロードされます。)


骨粗しょう症は高齢化社会が進むにつれて多くなってきました。骨密度の検査は6ヶ月に1回など、定期的に計測することで経時的変化を調べます。

代表的なものとしては、大腿骨頸部を調べる検査ですが、足の内外転の差は、あまり結果に関係無く、どちらかというとやや外旋が良いという研究がありました。

(井上貴雄『大腿骨近位部骨密度のDEXA(Dual Energy X-ray Absorptiometry)法による検討』岡山医誌 1993 105 p.331-339  )

ただ、大腿骨近位部BMD測定マニュアル - 日本骨粗鬆症学会によれば、前捻角を考慮してかなり内旋しないと、大腿骨の横軸が正確に出てこないと図示しています。

実際には、全然パテラが内側に回らない人もいるので、全員に対して共通の体位にしたい場合、全員に同じように内旋させるのは厳しいでしょう。

回旋度合いによって、大腿骨の通過する厚みが変わってしまうため、毎回の検査ごとに余りにも違い過ぎると良くないかも知れません。




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