まだAIは実用段階ではない。

ITEMには行ってないのですが、ITEMでAIの話が沢山出た様です。

AIに関しては、色々話を小耳に聞いたりしてきたので、ほんとにざっくりした話をまとめてみます。題名にほぼ集約されています。

AI(人工知能)と言われると、ほんとバズワードですが、言うなれば第三世代のニューラルネットワークです。ディープラーニング(深層学習)といわれるものもこれにあたります。

画像に特化したものでいうと、Convolutional Neural Networkというものがあります。画像を要素分解して、それぞれの要素ごとに確率を計算し、最終的に全体の予測をしていくというものです。

ニューラルネットワーク自体は数十年前に、「ネオコグニトロン」という人間の視野認識をコンピュータに応用する研究を日本人がやっていました。

ただ、SVM(サポートベクターマシーン)などがより精度の高い結果を示す為に、一時ニューラルネットワークは下火になったそうです。

実は、青本の最初の方にもニューラルネットワークの図が乗っていたり、医用画像情報学の教科書にもニューラルネットワークらしい図の紹介がされています。

何故最近特に注目されているのか、それはニューラルネットワークを活用した素人のエンジニアチームが、画像予測のコンテストでぶっちぎりで優勝しちゃったからです。筋のいい予測を人間が考えてクラス分類するより、沢山画像を集めてニューラルネットワークに流しちゃった方が精度が高くなった。

ということは、医療で考えるなら、読影に自信が無い人、診断に自信が無い人が読影や診断をするよりも最新のニューラルネットワーク=AIが返した結果の方が確からしいという可能性もあります。ただし、ソフトウェアに人格は無いので責任をとることは出来ないでしょう。最終的に人が判断の責任をもつ、というところがAIの実用化のネックになると思います。

ドクターズネットさんとかが、機械学習を取り入れているという話をきいたことがあります。下手な機械学習だと返ってくる結果が精度の低いものになるので、だったら人がやった方がと思う人もきっといるでしょう。

NNで精度の高くなったと言われるGoogle翻訳だって、細かく見れば変な訳が結構あります。でも、だいたいあってるから一から全部英文を読まなくても変な訳だけチェックすればいいので、沢山の画像を読む場合のあくまでスクリーニング(疑わしいと思われる疾患の要素出し)にはいいんじゃないかなという感じですね。

ニューラルネットワークは日本ではPFI(Preferred Infrastructure)さんがChainerというオープンソースライブラリを出しています。ただ、GoogleのTensorFlowが強過ぎて、、頑張れ!と言う感じです。RSNAで、Enliticsなどの会社がディープラーニングの取り組みを小さいブースながらやっていたそうです。


AIは、沢山データがあればあるほど精度の高い結果を返すことが出来ますが、沢山データを使うと言うことはその分演算量も多くなります。テラバイトのGPUを駆使して研究室で何時間もかける感じです。京より段違いにスペックの高いスパコン(エクサスケール)を使ったら、そのうち出来るのかも知れませんが、、

Radiomicsという、画像だけでなく遺伝子データとかその他のバイオマーカーを組み合わせて診断につなげるという取り組みがあって、異種のデータがあればあるほどAIはよくなるので、多分これから熱い話ですね。

ただ、CTの逐次近似とか、FCRのマルチ周波数処理とかのように、その場ですぐに結果を返せるようなたぐいでは無いんじゃないかな、、と思います。

前にバーチャルグリッドでもノイズ処理にAIを使っているという噂を聞きましたが、現場でFPDで撮った画像を見るときはノート型PCで見ているので、いくつかのパターンにあわせたノイズ除去を行っていて、ノイズ除去のパターンを作る時に、沢山の画像をAIに読ませて散乱線データを推測しているのではないかなと思います。

AIに自己学習させて、より精度の高い画像を作る取り組みもされているという話も聞きましたが、得られたデータを判断する方にAIが使われる、というのが今後の主流な気がします。

ある技師さんとも話していましたが、AIはこれから来るけど、まだ時期的に早いんじゃないかな〜と言っていました。多分徐々に来るんでしょうね。


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