JSRT2015④:MRIの発表について

今回は、核医学とか治療の講演を聞こうと思ったので、あんまりMRIの講演聞けなかったな。。でも、最後に北川先生のお話を聞けてよかった。

めちゃめちゃ深いところまでMRIを熟知していて、それでもまだまだ足りないと言っていて、本当に仕事に対して真摯に向き合っているんだなと感じました。尊敬します。

<3.0Tと1.5Tにおける肝脾信号強度比の差異についての検討>

3.0TでもQ-LSC(肝臓の信号強度/脾臓の信号強度)が低く見える例がある。

そこで、LAVA(T1強調 脂肪抑制撮像:3D FastSPGR 肝臓胆嚢膵臓のダイナミック撮像。プリモビストなどの造影剤を使って行う。)とLAVA-FLEXの撮像を行い、静磁場の違いが出るのか、フリップアングル、エコータイムなどが影響するのかを調べた。

ROIには、肝臓と脾臓が同じ位相にくるように設定した。

結果:3.0TだとLAVA-FLEXが有意に信号強度が高い。フリップアングルで調整して、3.0Tでも1.5Tと同じ信号を得ようとしている。SNRは下がるが、1.5Tと3.0Tで診断基準を変える方法があるのではないか?

<MRI検査における5W1Hを考える>

技師は、MRIで得られた画像を読影する立場。モダリティによる言葉の使い分けが出来ているだろうか?

例えば、頭部MRIで視床部に白い部分があったら脳梗塞だと技師は言えるだろうか?そうではない。画像の白と黒の表現はモダリティによって違うのだから、正確な言葉の使い分けをしなければいけない。

CTでは信号値はdensity(濃度)に置き換える。白=High density area(高濃度領域、高吸収域)、黒=Low density area(低濃度領域、低吸収域)

MRIでは、signal intensity(信号強度)で考える。High intensity area(高信号域)、Low intensity area(低信号域)と表現する。

従って、先程の視床部における白い部分については、「High Bの拡散強調画像、左視床部分付近に円形状のたて5mm、よこ3mmで境界明瞭の実質に高信号域が見られます。」
というのが正確である。

病変を見つける為の5W1Hで考えよう。

①Diffusionで高い信号が得られた場合でも、アーチファクトを疑う。錐体部に近いところは空気と実質間での磁化率効果が考えられる。DWIには必ずADCマップが必要になる。DWIで高信号になっているとき、ADCマップ上を見れば拡散が本当に低下しているのかが分かる。

②また、ある患者さんで動きのある患者さんにたいしても体動の影響を受けない画像を作ることが出来るBLADE(SIEMENSのシーケンス名、GE:PROPELLA)。回転してデータを充填するシーケンスだが、かなり便利だ。ところが、ある時、どうしても動いてしまう患者さんに対して、このシーケンスを行ったところ、医師から注意を受けた。

CJDクロイツフェルトヤコブ病の患者さんは体動があることが特徴なのだから、体動を補正しないで撮像するのが良いのだそうだ。体動があった画像でもとりあえずPACSに送ってみるのがよいこともある。

③脊髄損傷におけるMR撮像で、SATパルスを椎体前面にかけたところ、前面にある喉頭部浮腫がSATパルスで消えてしまう。

④脳梗塞の経時的変化について

逆のフの字で考えてみよう。

⑤進行性核上性麻痺の場合、中脳被蓋が萎縮し、はちどり(ハミングバード)のような形になる特徴がある。ところが、正常水頭症でも、同様の形になることがある。



最後に、「ひづめの音を聞いたら、ヒツジを疑え」ということ。思い込みを出来る限り捨てて、偏見の無い目で見ることが大事ではないだろうか?


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