JSRT2015③治療に関する発表

JSRT東京部会で聞いてきた、治療の発表のいくつかの紹介をしてみる。

放射線治療計画における金属アーチファクト低減処理を行ったCT画像の有用性

口腔内に金属のロット(Ti合金やCo-Cr合金)が入っている患者さんの場合、CTでシミュレーションを行おうとすると金属アーチファクトで真っ白になってしまう。治療計画では、CT値からそれぞれの組織にかける線量を算出していく(電子密度変換テーブルという)のだが、アーチファクトによって正確なCT値の算出が出来ない。

そこで、SEMARという画像再構成手法を用いるとオリジナル値に近づけることが出来る。(計算方法=AAA:密度変換、AXB:物質割当)アーチファクト領域を妥当な値に変えることが出来る。IMRT、VMATの治療にも使える。

PM/ICD装着患者に対する放射線治療時ワークフローの作成と評価

放射線治療時に心臓ペースメーカーを身につけている患者さんは大線量を受けると、ペースメーカー内のCMOSが影響を受けて、誤作動を起す可能性がある。除細動器機能を臨床工学技士さんにあらかじめOFFにしてもらった状態で、患者さんに治療室に来てもらっている。

JASTROで発表されているガイドラインをもとにそれとは違う点について、どうやって対応するかを検討する。

EPIDによる治療前の照合撮影においては、ペースメーカーにかかる線量をどうやって落とすかを考える。ペースメーカーから10cm以上離すことで半分以上(20cmで8割?)の線量を低減することが出来た。

外装wedgeと内装wedgeにおける軸外線量の検討

くさびwedgeの有無による線量比(ウェッジ比:Wf)と治療ビームの中心軸から外れたところの線量(軸外線量)の関係について考える。

計算式は以下のような感じ。
Ao.wR(r)=Dw(d,s)/DMU・MU・TMR(d,l)・Sc(c)・Sp(l)・Wf・Go(l)
Dw(d,s)…吸収線量は先に実測値を調べておいて、その他の条件が分かっている上で計算を行うと間違いが少ない。

また、TMR(d,l):組織最大線量比、Sp(l):ファントム散乱係数は軸外と中心軸は違いがあるので、補正が必要である。そこで、線量の傾きのあるx軸方向、傾きのないy軸方向で実測を行う。off axis distance(軸外点距離)によって、TMRは一定の曲線で変化する。



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