DICOMデータを使った線量管理

DICOMを用いて線量管理を行う取り組みが、JSRTの雑誌に掲載されていて、これは技師の仕事になるかも知れないと思ったので。

病院の情報を院内LANで管理しているシステムがHIS(Hospital Information System)である。

様々な病院の業務に関する情報(EMR:Electric Medical Record)がこのHISの中に管理されています。

また、HISの中でも放射線科で用いられるシステムがRISである。RISには、主にPACS(Picture Archiving and Communication System)がある。医用画像を保管管理し、ネットワークを介して病院内で配信表示するシステムであり、その標準的なフォーマットとして、DICOM規格が用いられている。

医用画像のフォーマット同様、その他の医療情報も一つの標準規格を作ろうということで考えられているのが、ICD10や、IHEなどの規格である。ベースはHL7というアメリカ発の規格で、文字情報の標準規約をここで決めている。「HIS RIS PACS モダリティ間予約、会計、照射録連携指針」というのがあり、32桁を使って画像検査のコードを表示している。

ところで、DICOMには、ヘッダがあり、こちらに撮像モダリティや撮像条件などを記入することが出来る。「装置の仕事の予定管理」を示すMWMと「装置の実施済み手続き段階」を示すMPPSという仕様がある。


これを有効活用すると、例えば、線量管理を行えるのではないか?という発表が学会雑誌にあった。授業でも扱っていたDICOMでタイムリーだったので、それっぽくまとめてみる。

医療被曝は、患者さんの診断や治療に有用だから、認められているのだから、使う放射線が適切に用いられているかは、一定の基準を設けないといけない。

被爆線量の低減は、学会でもよく取り上げられている。2004年にLancetが日本のCT利用とがん罹患率の関係性を示唆した論文を出したこともあり、CTによる撮影の線量測定は現場でもやられているみたい。(DLP(Gy・cm)の計測とか)

X線を用いた診療行為の最適化の為に考えられている基準がDRL(diagnostic reference level)であり、国レベルで考えたものを自分達の施設に落とし込んでいく。

普段のX線だけでは、蓄積されたX線被曝による確率的影響を考えればいいが、IVRなどのように検査を受けたあとに皮膚の紅斑が出来ることがあって、ICRP勧告で、書く的的影響についても考えようぜ的な話があがっているっぽい。両方の影響について考えるには、データをきちんと整理しないといけない。

不必要な放射線被曝を防ぐ為に、被曝情報を管理して、そのつど基準(DRL)と照らし合わせることが重要だが、これまでDICOMデータでは、色々と制約があり、あまりやられてこなかった。

2005年にDICOMは線量管理に用いる情報出力形式を統一するためにDose SRという規格を出した。そこには、IOD(information object definition)という単位の中で装置ごとに異なる被曝線量をまとめていて、これまでより、線量情報の管理がし易いのではないか?という話があがっていました。

実際にまとめた考察によれば、英国(UK)の情報を基準にして調べたところ、IVRの撮影時間がUKよりもかなり長い印象を受けました。(照射時間、UKが200~300sに対し500sと約2.5倍)

医療情報の管理はこれまで以上に重要になるかも知れない。

<参考資料>
DICOM Radiation Dose Structured Reportを利用した血管撮影部門における放射線管理データベースの有用性(日本放射線技術学会 Vol.70 No.12 Dec.2014 p.1392-1401)
医用画像情報学改訂第3版:南山堂 2014

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