CTDI,DLPの測定事例

 CT断層撮影は、X線管と検出器を回転させながら患者にX線を照射することで、得られた一次元データから、二次元、三次元の画像再構成を行い、患者の体内の情報を調べる手法である。現在では、X線管と検出器が一体となってガントリが回転する第三世代が主流となっている。

 通常の一般撮影と比べて感度がよく、わずかなX線減弱もモニタ上で可視化することが出来る。ただし、高管電圧のもと、長い時は秒単位で撮影する為、一般撮影よりも遥かに大線量を患者に浴びせることになる。

 体内の細部に至る情報まで調べることが出来、CT画像をもとに外科手術の計画などを立てる重要な情報源にもなるが、一方で被曝線量が大きいため、確率的影響を考慮に入れなければならない。

 2004年に英国Lancet誌に掲載された「Risk of Cancer from Diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries」という論文では、日本では被曝によるがんの誘発率が非常に高いことが指摘され、その要因としてCTの被曝が考えられ、線量低減に対する意識が高まった。

 一方で、被曝を恐れて、mAs(時間×管電流)を一定以上に設定しなければ、十分な情報を得られず、結果として不要な被曝をもたらしてしまう。

 被爆線量と画像情報はトレードオフの関係にあることを考慮した上で的確な撮影技法を取得しなければならない。

ということで、よくCTの被曝線量の計算は行われているらしい。

 被爆線量の測定には、ファントムを用いてCTDIという単位をもとにして行う。以下にその概略を示す。(JIS Z4752-3-5を参照)

CT線量指数100(以下CTDI100と述べる。単位:Gy)
CTDI100では、前後5cm、計10cmの範囲で照射された被曝線量を調べた値であり、以下のように計算される。


D(z):スライス面に対して垂直な線に沿った線量プロファイル
N:X線源の1回転において生成されたスライスの数
T:公称スライス厚

重み付けCTDI(以下CTDIw
CTDIwは、ファントムの中心とファントムの周辺部の線量をまとめて、平均化したものである。



CTDI_c:ファントムの中心で測定した値 
CTDI_p:ファントムの周辺部で測定した値の平均値


ボリュームCTDI(以下CTDIvol)




DLP(単位:Gycm)



~へと順番に計算を行い、最終的な結果としてDLPの値を求めることで
CTによる被爆線量を計算することが出来る。



1:CTDIの様子

事例:電離箱でCTの照射線量を計測した結果以下の通りとなった。


これを照射線量→1cm単位の吸収線量に変換。電離箱補正係数と、吸収線量変換係数というのが絡んでくる。そして、中央の値、上下左右の値からCTDIwを計算し、ピッチ係数を考慮して単位長さ辺りの線量、CTDIvolを計算。最後に、撮影範囲長を掛け算して、どの程度の線量がどの範囲で照射されたかを示すDLPを求める。

以下、ざっとこのような感じ。




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