胸部CT検査

出典:飯塚病院放射線科


胸部CT検査では、基本的に縦隔と肺野レベルの2つパターンを出すことが多い。
X線撮影で分からない点を精査する為にCT検査を行う。

胸部異常影の検出と正常構造との位置関係、リンパ節評価が検査目的となる。血管疾患を評価する目的で検査を行うこともある。

肺野は基本造影しても変わらないことが多いので、あまりやられない。

検査時は大きく息を吸った状態(深呼気)で撮影するのが基本である。大きく呼気をすることで、肺胞領域と疾患部や肺動脈とのコントラストがよくなり、疾患の性状を把握し易いからである。肺がふくらんだりしぼんだりしてしまうと、その分のずれが情報量を減らしてしまう。

検査を行う上での基準を決める為にまず事前にX線管も寝台も動かさないで撮影する。これをスキャノ画像という。これにより位置決めして撮影を行う。(スキャノ画像の違いは、撮影しているX線管、SID、検出器の違いだけれど、ほぼFPDと同じ原理と言えるかも)

観察する主な疾患
出典:Radiopaedia(右下葉肺炎)
肺炎…細菌が気道から肺に感染し、炎症を起す。炎症のある部分がややCT値が高信号になる。これは空気と比較したときの線減弱係数がやや高くなるからだと考えられる。(水=0、空気=-1000 線維化した組織は40~50くらい?)

出典:Radipaedia


慢性閉塞性肺疾患COPD…よくタバコにより引き起こすことが多いとされる。従来は慢性気管支炎、肺気腫と呼ばれていたが、近年発生機序をもとに改名。肺野に気腫性変化が著名である。



気胸…肺から空気がもれて、胸腔にたまっている状態をいう。肺が空気に押されて小さくなっている。自然気胸・交通外傷による気胸等がある。(気胸のあんまりいい画像が無かった。)

出典:Radiopaedia


原発性肺癌…気管・気管支・肺胞のいずれかの上皮から発生する上皮性悪性腫瘍の総称。腺癌・扁平上皮癌・大細胞癌・小細胞癌と組織が多彩なことが特徴。

出典:Radiopaedia(転移性の悪性黒色腫)


転移性肺腫瘍…肺への転移型式は血行転移が圧倒的に多く、転移性腫瘍の原発臓器では、肺・膵臓・肝臓・大腸に多い。(黒色腫も腫瘍の一つとして画像に挙げていますが、間違ってたらごめん)


乳癌…近年日本人でも増加しているがんの1つ。罹患するリスクは年齢と共に増加する。乳癌と診断される女性は、1年間に4万人にのぼる。極めて稀に男性も罹患する。

症状としては、乳房のしこりや脇ノ下のリンパ節が触れることがある。(CT画像だと体の上部に線維化した組織がやや高信号で写る。回りが脂肪なので相対的に高信号に。)

CTでは、マンモグラフィやMRIなどで診断がついたあとで手術前の検査として行われる。

あんまり見られてないのですが、飯塚病院のティーチングファイルの胸部編にも問題がいくつか上がっているので参考にしてみて下さい。

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