自動露出制御装置(AEC)について
自動露出制御装置とは
1、任意の部位に就いて常に適正な光学濃度のX線写真を得る為に、撮影条件を自動調節する機構のこと。制御回路を流れる信号電流が一定値になった時に反転信号を発信し、X線照射を停止する。
(2016/11/7加筆)
これは、腰椎側面など、体厚が大きく線量が通常と異なる場合に、AECをオンにした状態で撮影するケースを見ました。「フォトが切れる」(?)みたいに言うこともあります。撮影スイッチを押すと、一定線量で止めてくれる一方、撮影範囲がずれていると少ない線量で
AECが切れてしまい、ざらい写真になることが多いので、気をつけよう。。
2、タイマ制御方式の検出器の分類は、電離箱の空気カーマを電離電流として検出するイオンタイマ方式、半導体の電離を検出した電離電流として検出する半導体法好き、蛍光体と光電子増倍管を組み合わせて蛍光体の発光による光電流を検出するホとタイマ方式がある。
日本ではほとんどホトタイマ方式が使われている。
3、直接撮影用ホとタイマ
制御回路からX線照射と停止の切り替えを行っている。放射スイッチから信号が伝達されX線が放射されると、被写体を透過したX線が検出器の蛍光体を発光させ、光電子増倍管によって信号電荷をコンデンサに蓄積する。この電荷が一定値を越えたとき、反転信号が高電圧発生回路に伝達され、X線の放射が停止する。
4、管電圧特性
管電圧によって光学濃度が変動する現象のこと。原因として、蛍光体の感度によるものと、AECを前面または後面に設定するかの二つが考えられる。
5、カセッテ前面検出法、カセッテ後面検出法
カセッテの前面または後面で検出するかによって、カセッテに入射するX線光子量にズレが生じてしまうことがある。例えば、前面に検出器を置いた場合、カセッテより先にX線光子を検出する為に、検出器の自己吸収や散乱がカセッテに影響し、低管電圧下で光学濃度が低下する。従って、患者さんの被写体厚が薄かったり、上肢下肢を撮影する際には、思った濃度が得られないことが考えられる。
また、逆に後面に検出器を置いた場合、カセッテを透過したX線光子を検出するため、低管電圧下で光学濃度が高くなる。従って、例えばマンモグラフィーの撮影の場合、思ったより濃度の高い画像が得られることが考えられる。
6、採光野の形状
ホとタイマは検出用蛍光体の平均光量で動作するため、X線透過量の高い部位から光子を検出出来るように設定している。AECは胸部撮影で主に用いられるので、主に肺野を模した採光野を設置していて、正面撮影と側面撮影とで採光野を選択することが出来る。
7、ホとタイマの短時間特性
Q=I・tによって立ち下がり時間が決定するので、出来るだけ大電流で撮影することで、短時間応答特性を向上させる。
8、長時間特性
長時間(t)撮影だと、ホトマルの暗電流(I)が増えてしまう。検出電荷=カセッテに入射した電荷+暗電流の電荷の合計(積分)値なので、例えば、患者さんの被写体が厚く長時間で撮影しなければならない時、撮影時間を2倍にすると、暗電流の分、カセッテの電荷が減り、光学濃度が目減りする。
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