放射線を扱う医療機器と放射線技師が出来ること

医療現場で診断や治療に用いられる機器のことを医療機器という。これには、患者さんの侵襲度を考慮してクラスI〜クラス4まである。

具体的には

クラス1:一般医療機器:不具合が生じた場合でも人体へのリスクが極めて低い
ex:注射針、ピンセット、X線間接撮影用カメラ、手動式手術台等

クラス2:管理医療機器:不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの
ex:補聴器、歯科用金属、歯科用注射針、手術用手袋等

クラス3:高度管理医療機器:不具合が生じた場合、人体のリスクが比較的高い
ex:コンタクトレンズ、透析器、人工呼吸器(レスピレータ)、バルーンカテーテル、血管陽カテーテルガイド、ワイヤー、AED等

クラス4:高度管理医療機器:患者への侵襲度が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れがあるもの。
ex:ペースメーカー、人工心臓弁、心血管用ステント等

また、据え付けの機器かどうか(組み立てる必要があるかどうか)なども問題になってくる。

放射線関連機器には、RI線源を用いるものか、電気的に放射線を発生させるものの二つがある。

前者は、

診療用放射線照射装置、診療用放射線照射器具(この二つは下限数量の1000倍以上か以下かによって決まる)、

放射性同位元素装備診療機器、診療用放射線同位元素、陽電子断層撮影用放射線同位元素、


後者は、

X線装置

診療用高エネルギー放射線発生装置

診療用粒子線発生装置

である。

放射線技師は、これを歯科医師や医師の指示監督のもとに扱う。ただし、集団健診を行う場合は、以下のことが守られれば例外的にOKである。


①事前に責任医師の明確な指示を得ること
②緊急時や必要な時に医師に確認出来ること
③必要な機器、設備、撮影時や緊急時のマニュアルの整備がなされていること
④機器の日常点検等の管理体制、教育、研修体制の整備がなされていること

診療放射線技師は、患者さんの余計な被曝を防ぎながら、撮影や治療を行う。ICRP勧告でも放射線障害を防止する為に行為の正当化、防護の最適化、濃度限度の設定を行っている。

放射線被曝を考慮したX線管焦点皮膚間距離などが定められている。

口内法70kV以下,歯科用X線撮影,CT撮影の場合は15cm、口内法70kV以上,ポータブル,乳房撮影の場合は20cm、それ以外は45cm以上である。また、透視中は30cm以上離す。

X線を除去する総ろかの基準は、
口内法撮影用70kV以下の場合1.5mmAl当量以上
乳房撮影用50kV以下の場合0.5mmAl当量以上または0.03mmMo当量以上
輸血用血液照射装置治療用及び上記以外は2.5mmAl当量以上となる。
(X線一般撮影装置の総ろかは2.5mmAl当量以上と医療法で決められていることはやりましたね。)

ろかを行うのは、Al板で減弱してしまうくらいの低エネルギー成分を減らすことで患者さんにとって不要な被曝をしなくて済むからです。

これらの条件については日本画像医療システム工業会(JIRA)が出しているJIS Z 4704の規約がありますので、そちらをご覧下さい。

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