インバータ制御:X線高電圧発生機構
X線発生装置は、陰極フィラメントに発生させた熱電子に高電圧をかけて陽極へ衝突させることで、制動X線を発生させる装置である。JISでは、主にX線源装置、プラグ付きX線高電圧ケーブル、X線高電圧装置に分類される。
X線出力を安定させる為には、印加する電圧、電流が常に一定の値を保っていなければならない。特に管電圧の最大値と最小値の変動率(リプル百分率)が4%を下回るX線高電圧装置は「定電圧」とされ、X線出力の性能が高いとされている。
定電圧装置の種類は主に2種類あり、変圧器三相12ピーク型、インバータ制御型が存在する。どちらもリプル百分率の値は小さいが、三相の方が機械の故障が多いため、最近のメーカーの装置はほとんどインバーター制御の装置を使っている。
これはモーターのインバータ制御ですが。。 |
いいちこ (インバータの いいところは ちょくりゅうを こうりゅうにかえる) |
インバーター制御は、直流電力を交流電力に変換し、交流側の周波数を調整することで、電圧、電流の制御を安定させる仕組みであり、X線発生装置以外にも様々な場面で使われている。
(こういう装置で計測を行います。INSPEC-200というものです。)
X線高電圧装置のインバーター制御には方形型と共振型の主に2種類ある。方形型は、インバータ周波数を変化させず、チョッパのパルス幅を変化させて、一次電圧を調整することで、管電圧を制御する。
一方、共振型は、インバータ周波数を変化させることで一次電流を制御し、出力を調整する。
管電圧のリプルは電源周波数により大きく変化する。インバータ周波数が高いX線装置ほど、管電圧波形のリプルを低減出来る。
一般に方形波インバータ方式では、インバータ周波数を一定にして動作させるため、管電流値が大きくなる程、管電圧波形のリプルは増加する。(高電圧ケーブルの静電容量による平滑効果が小さくなるため)一方、共振型は、インバータ周波数を変えて動作する為、管電流値が大きくなる程、管電圧波形のリプルは減少する。
X線出力に関係するのは、主に管電圧、管電流、撮影時間の3つのパラメータである。
管電圧は前述のリプル百分率、管電流はフィラメント電流、フィラメント加熱電流との関係(フィラメント特性、管電流特性)によって決まってくるし、撮影時間は立ち上がり、立ち下がりによって決定する。
では具体的に、管電圧の変化によってその特性がどう現れるのか、、、、
という実験のレポートを書いている最中です。。
下記はインバータの管電圧波形です。立ち下がりが高電圧になるにつれ、時間が大きくなり、数Vだけ残ってしまいます。(高電圧ブッシングのため)
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