X線高電圧発生装置:インバータ式回路

インバータ式整流回路は、交流電力の波長を短くし、高周波にすることで、効率的にX線出力に必要な高電圧を供給しようという仕組みです。

最近のX線管装置は、ほとんどインバータ式らしく、ほかには安価で製造出来る歯科向けの自己整流回路式くらいしか据え置きで病院やクリニックには置いてないらしいです。

さてインバータとは家電用冷蔵庫とか電車もよく見るとインバータらしいんですが、X線装置でもエネルギー効率がよく、装置を小型化したり出力の再現性を担保する為にインバータを使っています。

おさらい?すると、X線装置の入力変数には、どれくらいの電圧(管電圧)でどれくらいの電流を(管電流)どれくらいの時間(撮影時間)流すか、という3つの項目があります。

この中で、管電圧を供給する為に必要な巻き線コイルは、三相の場合だと
67cm×60cm×133cmで重量は760kgとほぼ1トンくらいあるのですが、インバータだと体積は約1/8、重量は75kg程度(モールド型というものだと25kg程度)にまで小型化出来るのです。

これは出力電力を示す以下の式が上げられます。

e=k・f・B・A・n1
k:定数,f:電源周波数(Hz),B:磁束密度(T),A:鉄心断面(m2),n1:巻き数

この等式からこれまでは鉄心断面や巻き数を多くすることで高電圧に変圧していたことが推測出来ます。インバータの場合はf(周波数)を大きくする分、鉄心断面や巻き数を小さくすることで装置の小型化に成功しました。

ただし、闇雲に周波数を高く出来るかというとそんなことはなく限度があるようです。

また、電源は単相・三相いずれも可能ですが、大出力の場合は三相交流を用いる必要があります。

50kW(単相),100kV,500mAの出力を1000mAにする場合は、三相にした方が効率が高いのです。

管電圧は常にフィードバック回路によって補正されており、リプル百分率も定電圧装置のレベルをキープしています。X線出力の再現がよいため、10回の計測の標準偏差をもとにした変動係数も0.05以下になります。

また、撮影時間も立ち上がりが早く、公称最短撮影時間の1msもほぼ正確に担保出来ます。(立ち下がりは、ケーブルの等価浮遊容量の電荷の関係があり、Q(C)=I(C/t)×s(t)の関係から、大電流の方が立ち下がりが遅い)


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