超音波の仕組みと検査の概要
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音波は非常に速い速度で進行し、物体に反射して跳ね返る性質をもつ。例えば、やまびこなんかがそれである。よく音波に使われるヘルツ(Hz)という単位は一秒間にどれくらい音が振動しているかを表していて、人が聞こえる音はちょうど50Hz〜20000Hzの間だと言われている。
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超音波は20kHz以上の高い音波のことで、おもに1MHzから30MHzくらいまでの超音波を駆使して体内検査を行う方法が超音波検査である。
周波数:f(Hz=s^-1)→周期(s):1/f
波長:速度v(m/s)/周波数(s^-1)
反射波の距離:d=1/2×v(m/s)×t(s)
<使用する周波数:深度と分解能によって適切な周波数が決まって来る>
1~5MHz:頭部
2~3.5MHz:心臓
5MHz:小児
10~20MHz:眼窩
7.5~10MHz:甲状腺
周波数が高いものは比較的身体の表層に位置する臓器の為、周波数が高くても使うことが出来る。
一方、心臓やその他の臓器は、骨や肺、その他の臓器が障害となってしまう可能性があるので、プローブの当てる方向が決まって来る。
また、浅いところはプローブを小さくするか、プローブを身体からはなすこともある。
プローブから発せられる音波には直進するエコーと、側方へ発せられるサイドエコーというものがあり、診断の邪魔になるアーチファクトの原因になる。
<どんなプローブがあるの?>
スキャナにはセクタスキャナ、リニアスキャナ、両者のいいとこどりをしたコンベックススキャナがある。また、肛門や膣、あるいは食道からプローブを挿入して読影する方法もある。(経膣室プローブ:内臓・経食道プローブ:心臓)
<どんな仕組み?>
電気により、水晶を振動させることによって超音波を人工的に作っている。
超音波を使った位置特定は、WWIの潜水艦のソナーで初めて使われたが、おおまかな原理は同じで、身体にソナーをしているようなものだろう。。
<超音波検査が得意なこと>
音波は固いものや密度の高いものにあたると境界面で反射の度合い(音響インピーダンス)が変化する。その為、実質臓器の診断に有用で、脈管・胆管・心臓の弁、腫瘍病変などを観察するのが得意。
逆に言うと反射する物質がないと音波は返せないので、肺のような臓器は苦手。あと、色んな障害があると、プローブをあてられる方向が限定される。
血流動態をリアルタイムで観察することも得意だ。カラードプラー法によって進行方向(こちらに向かう)は赤、逆行方向(遠ざかる)は青と指定して、血流を見ることが出来、心臓の拍出に異常があればすぐに確認出来る。(Mモードにして、心拍を時系列で見ることも出来る。)
赤ん坊の心臓機能を見る時には、サンプルボリュームマークで位置合わせすることで、血流を見ることが出来る。
<超音波の3つのモード>
A(Amplitude)モード:反射情報を振幅にして確認する。これはほとんど現在使われていない。
B(Brightness)モード:反射波を2次元情報にして観察する。STC(弱い波を強める)
Mモード:反射状の時間軸カーブを用いる。
<観察出来る病変や観察法>
・心臓:第3〜4肋間、胸骨左縁から観察。左室長軸断面像・左室短軸断面像。大動脈弁、僧帽弁、etc
・悪性リンパ腫:多数のヌケ像
・胃がんのリンパ節転移
・腎結石
・胎児の観察:GS・CRL・BPL・FL(1st~3rd trimestem)、男女の区別
・子宮外妊娠・子宮筋腫・卵巣膿腫
・乳腺腫瘤病変
・Fallot四徴症
・肝臓胆のう膵臓:うっ血肝・肝細胞がん・肝のうよう(蜂の巣状・発熱の所見)
Bull's eye pattern、肝シャント、胆石症、胆のうがん(StageI~IV)、胆のうポリープ(これは国試に出た!)
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