放射線の検出と計測

支離滅裂な放射線議論を正確に読み解くのも技師学生の勉強法の一つ

2011年3月の大震災以降、ベクレル(Bq)やらシーベルト(Sv)やらグレイ(Gy)やらという言葉が飛び交って、当時は訳が分からなかったですが、知れば知る程巷では支離滅裂な放射線議論が今もはびこっているんだな、と思います。

<FBポストより:美味しんぼ問題について>
こういう時に使える知識を持ってないと。。もし、分かる人で、それ違うよとかってあったら、ご指摘下さい。。
骨髄は放射線感受性が高く放射線の影響を受け易く、造血幹細胞が血小板を作れなくなることで、出血が止まらなくなることは考えられます。
放射線のダメージで血小板の減少による凝固不全が起こるのは1~2Gy程度の放射線被爆をうけた時ですが、そうするとリンパ球(白血球)の数も半分になっているため、最近感染の可能性あり、この場合吐き気や嘔吐を伴う前駆症状も起こるそうです。
それ以下であれば、基本的には自覚症状は無いが、血球の数値が下がっていることはあるので、血液検査すれば、多分分かります。
また、血球の数値が下がっても数十日すれば元の値に戻ります。

これらはどうやって検出し計測しているのか??主に放射線による電離や励起を利用して、蛍光(=>光電子増倍管)、電離電流の検出により電気信号に変換して検出しているのです。

身の回りだと、例えば、病院にはGM計数サーベイメータが置いてあり、室内環境の線量漏れを察知したり、小線源治療で使う核種の保管場所に常備していたりします。

また、福島原発の事故によりモニタリングポストが置かれました。(マップでリアルタイム線量が見れます。)空間線量計はGMサーベイメータかNaIシンチレーションカウンタです。また、この前紹介したSafecastですが、伊藤穣一さんがガイガーカウンタって言っていたのでやっぱGMなんかな。。(英語トピックですが、Safecastのグループも見てみたらどうでしょうか?)

(Safecastのマッピングデータ)

最近、CNICさんにもお邪魔して、ALOKAのNaIシンチレーションカウンタやら、EMSとやらを触らせてもらいました。とても参考になったので、後ほど記事を書くかもしれません。

放射線計測:単位・検出器・統計的処理

放射線計測に必要な要素は、何点かあります。

①放射線の存在
通過する物質を電離する能力を持つ電磁波及び粒子線(電荷を持たない放射線は間接電離・電荷を持つ放射線は直接電離)が存在することが条件。

・電磁波:γ線・X線(紫外線は基本含まれない)
・粒子線:陽子線・重粒子線・電子線(β線)

発生原因は、放射線核種の存在、加速器による核反応や制動放射などが挙げられ、存在の有無は特定の環境でどの程度の放射能汚染があるか、試料の放射能から核種の特定などを行う。

②検出(detection)
検出器から放射線の存在を特定する。検出器による相互作用から、放射線の種類が何で(種類の同定)、どれくらいの量があって、どの程度のエネルギー(eV)をもっているかを調べる。

Bq:核種が1秒間に改変した原子数量(decay per second:dps)
Gy:主に吸収線量に用いる。物質が単位質量dm(1kg)あたり付与された(吸収した)放射線のエネルギー量(J/kg)
Sv:主に等価線量と実効線量に用いる。Gyに対して生物学的影響を考慮した値。

等価線量:Ht(組織の等価線量)=Ux(放射線荷重計数)・Dt(吸収線量)
…こちらは、確定的影響に対する値。つまり、あるしきい値の線量を受ければ、必ずこういう影響が起こるという指標を決めたもの。

実効線量:He(実効線量)=ΣWt(各組織の組織荷重係数)・Ht(等価線量)
…こちらは、確率的影響に対する値。がんや白血病などは、放射線を受けても発病するとは限らない。その為、身体の各部位によって致死率が異なることを考慮した係数を掛けて、個体全体の合計として合算する。

因みに、過去は照射線量(C/kg)を使っていたそうです。要は検出器中で作られた電子イオン対の電荷(+または-のどっちか)の合計なのですが、最近はJ換算のGyやSvに統一してますね。。何でだろう。

③計測(measurement)
種々の機器を用いて対象物の長さ(m)、重さ(kg)、容積(cm3,m3)を求める。

…反応はしてくれないと分からない!

①〜③を行う為に前提として知っておくべきこと

まずはW値(気体の電離)、ε値(固体の電離)を知る必要があります。検出器には気体の電離を用いたもの、固体の電離を用いたものがあります。それらの検出器で電離が発生するのに必要なエネルギーが小さい程、わずかな放射線も調べることが出来るのです。

W値:H2:36.5eV N2:34.8eV O2:30.8eV air:34.0eV

W(気体中で1イオン対を生成する時に必要な平均エネルギー)=E(気体中に吸収された全ての電荷)/N(その体積)

ε値(半導体中で1対の電子・正孔対を作るのに必要な平均エネルギー):Si:3.6eV Ge:2.9eV
(また、固体の種類によって電荷・正孔の自由度が異なったりする)

…W値とε値の違いそして、固体と気体の密度の違いもあいまって、半導体検出器の方が気体電離の検出器よりも検出能が高い。

放射線荷重係数:放射線の種類に応じて生物学的な効果を加味した値。RBEとほぼ同意、LETとも関係がある。

RBE(relative biological effectiveness)生物学的効果比
…基準放射線(250kevのX線)に対してある生物効果を得るのに必要な吸収量の比

LET(lethal energy transfer):線エネルギー付与
…放射線の波長(振動数の逆数)に対してどの程度のエネルギーを付与するのかを示したもの。


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