「健康・医療のパーソナルデータ」~利活用と保護のバランスをめぐって~(慶応義塾大学協生館)

慶応義塾大学協生館にて3月11日に「健康・医療のパーソナルデータ」という講演が開催されました。将来、もしかしたら、ビッグデータ的なものを扱うかもと思ったので、概要を知る為に来ました。

13:00~13:10:黒岩祐治(神奈川県知事)のご挨拶(ビデオレターより)


今後、人工ピラミッドは崩れていく。高齢者人口が増加する為、これまでと同じマンパワーでは活動出来ない。


日常の食事・運動(エクササイズ)による個人の健康管理+病気の治療経過を組み合わせていくことが今後必要になる。


その上で、前提となる考え方は、健康と病気の二元論の脱却である。未病の概念:未病の状態から治していく。


これらを最先端の技術を駆使して解決していく。


IoT(Internet of Thing)を医療に活用することも出来る。TOTOのガスセンサーや声のセンサーなどで、身体だけでなくメンタルの状態を確認することが出来たり、ウェアラブルバンドによって(丸いわっか)身体のバイタルサインを感知することが出来る。従って、人間ドックに行かなくても未病の状態から治すことが出来る。


おくすり手帳の電子化:薬の調剤データを電子記録し、いつでも情報確認出来る(PHR:Personal Health Record)


個人データと切り離された大きなビッグデータとして情報を蓄積することで
食事データ・調剤データ・運動データ、遺伝子データを見ることで、医療の個別化を目指す。


経済の新しい産業となりうる。持続可能なエコシステム。

村井純先生

パーソナルデータを理活用してどうアプローチしていくか。
人間から集まるデータ、専門職から集まるデータ。
Twitterで蓄積されたデータ、車の移動で蓄積されたデータなどがライフラインとして
機能し始めている。強い力を持ち始めている。(実用化は2~3年前から)


①医療からのアプローチ、②個人からのアプローチ


SFCではこれを考える為のビッグデータ、データサイエンティストとしての必修科目の体制を来年度から作った。


①COI-T(Center of Innovation)
All慶應で医療ビッグデータを解く
医学部、病院、理工学部、SFC
特にEHR基盤を構築


病院においてカルテ情報(EMR)は治療につかうもの。それが第一のミッション。
電子カルテにすると、教育、研究の為に利活用することがしにくくなったという声も。
具体的にどう活用領域を広げていくか。社会的インフラとして、パーソナルデータを知的な基盤として利用していくか。


②LCC(ライフクラウド研究コンソーシアム)
神奈川県毎カルテ事業
お薬手帳のクラウド化から健康情報プラットフォームの設計、特にPHR基盤を構築。


IT情報を全ての部門で利活用していく。デジタルテクノロジーは量産すると馬鹿みたいに安くなっていく。コンピュータになるとどんどん安くなってほとんどタダになる。


intel Edison:デジカメのSDメモリの形をしたスーパーコンピュータ
→モバイルがスーパーコンピュータになってしまう。無限のデータが流通する。
個人用の健康機器もどんどん安くなっていく。


生活のあらゆる場面で様々な情報が発生する。情報技術を用いて情報を蓄積する。


神奈川マイカルテプロジェクト
お薬手帳


データの処理の為のIssueを発見し、Issueを解く力。データビジネス創造ラボの設立。

体重計に載った時にTwitterにシェアするかどうか聞いてくる。

新保史生先生(慶応義塾大学総合政策学部教授)


医療と個人情報の関係性について議論する。

個人情報保護法は、生存する個人に関する情報であるが、死んでしまった人の情報でも遺族等の生存する個人に関する情報は、保護の該当になる。

誰が誰であるか識別し特定出来るかどうか、そして識別した人が氏名まで確認出来るとなると、個人情報(≒パーソナルデータ)を行う。

「一番前の何列目の人」が分かると他人に知られたくない場合の"プライバシー"が問題になる。個人を特定する個人情報ではないが、個人に関する情報なので、あえてパーソナルデータという名称を用いている。

レセプト情報・特定検診等の情報データベースの利活用促進においてもこれらの取り扱いに注意が必要である。

個人情報については、公になっている公知の情報(青信号)、公になっていない、本人が話さなければ分からない非公知の情報(黄信号)、思想信条や性癖など、知られてしまうと困る機微(sensitive)情報(赤信号)に分けられる。これらのうちプライバシーとなるのは、非公知、機微の情報とする。

FacebookやTwitterなどSNSのシェア、レコメンド(直接のおすすめはグレー)など。シェアは公。

医療情報は様々な省庁によって管轄がパズルのように区分けされる。例:遺伝情報のビジネスについては経済産業省。それ以外の遺伝情報、医療情報は厚生労働省の管轄。

クローン以外はパーソナルデータを研究に利活用することが出来る。患者が退院していても同意をとらなくてよい。

外部から紹介、問い合わせがあった時に、誰にどの情報まで紹介することが出来るのか??警察が令状を持ってきた時は全て公開しなければならないが、紹介状はグレーゾーン。

ビッグデータ、プライバシー、グローバルへの対応の3つの柱に基づくパーソナルデータの取り組み。来年の通常国会にて個人情報保護法改正のスケジュールで進んでいる。

データについてはスマートフォンの利活用も重要である。身につけていながら非常に詳細な情報が取得される環境。

(後で続きを書くかも知れません。)

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