X線管からどうやってX線が発生するのか??

X線の発生

「X線は陰極から放出された熱電子が陽極の物質と相互作用をおこすことで、発生する。」

…この文章には実はいろんな意味が隠されている!X線装置は様々な仕組みが施されることで、医療行為に利用出来るX線画像を提供しているのだ。

まず、
①陰極で熱電子が放出される仕組み

・電子はX線装置によって加速され、陰極から放出される。

陽極と陰極の電位差=管電圧。管電圧が150kVの場合、接地電圧は、陽極=75kV、陰極=-75kVとなり、合計で150kVとなる。流れる電流は直流に変換されている。

・金属を熱することで熱電子を放出する。発熱量が変われば熱電子の量も変わる。タングステン(W)でできたコイル状のフィラメントを用いる。

・フィラメントに50V程度の可変電圧を加え、調整することで、熱電子発生量を調節する。(ちなみに照明もほぼ同じ仕組みで、フィラメント構造から発生する電子密度を高めることで、発光量を上げている)

・電子はマイナスの電荷を持っていて、互いの電子が陽極に着くまでに反発し合って広がってしまう。そのため、フィラメント周囲に陰極と同じ電位の電極を取り付けることで、電子が広がらずに陽極一点に集束するようにする。これを集束電極と呼ぶ。これは陽極の広がりに寄るぼけ(半影)を防ぐ働きをしてくれる。

②熱電子が陽極の物質と相互作用をおこす仕組み

・熱電子は陽極の物質に衝突した時に、原子のクーロン力によって制動され、制動された分エネルギーとしてX線が放出される。ブレーキで火花が散るような感じ??99%は熱エネルギーに変換されるけれど、1%はX線のエネルギーに変換される。

・熱電子が陽極の物質と相互作用をおこす為には、陰極から陽極の間が真空状態でなければならない。空気分子と衝突するとその分発生効率が悪くなるからである。よって、ガラス管に入れて真空とする。(真空状態=10^-7torr)

・陽極の物質もある一定の条件がある。内郭電子の数が多い(原子番号が高い)こと、熱に強い(融点が高い)こと、導電率が高いこと、熱伝導の性質を持っていることが挙げられる。これらに該当するのがW(Z=74)であり、タングステンはよく用いられる。




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