X線CT装置の仕組み

本日X線CT装置の解体があり、非常に参考になりました。学校や病院、施設においてあるX線関連の装置は古くなった段階で取り替える必要が出てきます。

その時に、先生にお願いして、その工程を見せて欲しい、と言えば見せてもらえるかもしれません。現場の技師さんは搬入、搬出の立ち会いをする際にイニシアチブをとることがあるそうなので、実際にどのような中身になっているかを実機で確認する機会があって、非常によかったです。

CTはX線照射部がぐるぐる回転し、その照射面へベッドに固定された患者を移動させていくことで、全身のX線濃度を検出、デジタルに変換して画像として処理するのです。

CTのX線照射は回転陽極によってX線が放出され、ビームトリマーによってX線が絞られ、人体に照射されます。

普通陰極線は細長いくだのようになっていますが、回転陽極は円状になっていて、軸が設定されており、ちょうどコインのようにぐるぐると縦に回るようになっています。

そして、回転陽極の電気をまかなう為に、スリップリングというものが使われています。例えるならパンタグラフです。電車は沢山のパンタグラフから電気をもらって走っていますね。

パンタグラフが電線との接点をもっていて、電気を常に供給出来る状態になっている為に走っている。スリップリングはそれがちょうど円になったもので、回転運動をするたびに接点があたり、電源から電気を供給出来るようになっているのです。

電気エネルギーは99%が熱エネルギーに変換されます。仮に130kV×200mA×20秒だとすると520000Ws

1J=1Wsなので、520000Jの熱量に変換されます。
1J=0.24calなので、520000×0.24=124800cal 3000mlの水を40℃以上上げることが出来ます。

このように、非常に高い熱量を扱うため、HU(ホットユニット:節子それ、ヒートユニットや)も大きくなっています。

高い電力を扱う為に、インバーター制御を取り入れて装置を小型化しています。IGBTというインバーター制御の為のスイッチングデバイスがあり、直流を交流へ変換。周波数の調整により、高い電圧でも扱えるようにしています。このスイッチは半導体スイッチで、ぱたぱた動くことで交流が発生します。

こうして高い電力をもって、回転陽極から照射されたX線は検出器で情報を受信し、受信されたアナログデータをDASボードでデジタル変換し、コンピュータにデータを送ります。
陽極から照射されたX線は人体組織にあたることで散乱しますが、散乱したX線を省き、直進するX線がどの程度あるのかを検出することで、身体の内部の状態を観察することが出来ます。

<参考記事>
CTDIの測定事例
CT・MRIの日常点検項目

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