読書感想文:放射線医療〜CT診断から緩和ケアまで〜①

学校の宿題で読書感想文が出ています。いくつかの参考文献の中から
読んで内容をまとめて、夏休み明けに提出するというやつです。

今回の宿題では、数冊読んでいますが、そのうちの一つが
「放射線医療〜CT診断から緩和ケアまで〜」(大西正夫著 中公新書)で、
今読んでいる途中。。



この本は、日本における放射線医療の問題点について洗い出している。

その大きな問題の一つがCTを過剰に利用しすぎてはいないか、という問題である。

日本ではCTを持っていることがある程度の医療行為が提供出来るというステータスになってきた為に、診療所レベルでもCTを保有しており、CTの世界大国になっている。

しかし、普段の診察からCTに頼り過ぎている嫌いがあり、それが被爆線量を増やす原因にもなっている。医師の観察眼で十分に判断出来る場合でも、とりあえずCTを使ってしまう傾向があり、適材適所で使われていないのが現状である。

ICRP勧告で、職業人、一般人ともに一定の被爆線量の制限が設けられているが、医療被爆に関しては、「個々の患者によって、必要な放射線診療も違うから、使わないことによるデメリットの方が大きいなら、使った方がいい」という方針の為に、線量限度は設けられていないのです。でも、医療現場で医師や放射線技師が適正に判断し、患者に説明した上で使わなければいけないが、必ずしもそうはなっていないのではないかと・・

実際に2004年に英国の医療専門誌Lancetにおいて、診断用のX線被爆による発ガンリスクが、日本で最も高いことを指摘する論文が発表され、議論を呼んだようです。
(Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries)

また、日本人は新しい物好きでもあり、PET(ポジトロン断層法:positron emission tomography)という技術が出てきた時に放射線診療を劇的によくするとしてもてはやされたり、MRIにより非侵襲的な治療、診断が出来るようになると言われてきたけれど、それぞれの技術に向き不向きがあったり、注意しなければいけない事項がある(磁性体は厳禁など)ので、どの技術を使うにしても適材適所で使っていかなければいけない。

PETについてはこちら(PET検査ネットより)

10~20年の発生・育成期間にPETで診療出来る。(PET検査ネットより)
PETにも向き不向きがあり、例えば甲状腺がんや悪性リンパ腫などの診断には非常に有用だけれど、食道がんなど有用でない種類のがんもあるので、一概に全てに利用出来る訳ではない。

がんセンターなどのPETを重点的に利用している機関ではPETによりがんと診断された患者が多いけれど、普通の病院や診療所ではそこまで発見例が多くない。


医療現場において、自分達が診察する場合、どんな心構えで診察を行うべきか、よくよく考える必要があると思います。。

それから、医療現場において実際にどんなリスクを加味すべきか、医療行為としての放射線医療の考え方、全国の重点機関でどんなことが行われているかなどが示されています。それらについては後ほど、書いていきたいと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

ポジトロン核種・サイクロトロン核種の覚え方

GM計数管のプラトー特性:スケーラーを使って

体表指標