原子・素粒子の歴史

デモクリトス(出典:Wikipedia)


ギリシア時代のデモクリトスが物質を一番分割出来るところまで分割して、最終的に分割出来ないところまできた存在、原子(アトモス)が存在すると主張していたが、
アリストテレス(出典:wikipedia)

紀元前の最高有識者の一人であったアリストテレスが、世界は火と土と水と空気によって構成されている、という主張をしたことで、それがほぼ定説になってしまった。

それから19世紀になってから、ドルトンという学者が原子説を再度提示し、原子の存在が改めて考えられ始めた。(ドルトンの原子説:1803年)

ドルトンは次のような原子説を唱えた。

①物質はそれ以上分割出来ない極限の粒子(原子)から構成されている。
②同じ元素の原子は質量その他全て同じである。元素が異なれば原子も異なる。
③化合物は2種類以上の原子が決まった数の割合で結合して出来る。

つまり、分割不可能な構成要素があって、それをベースにそれらが様々な組み合わせをすることで、この世の物質は出来ている、ということを改めて説を発表したことに意義がある。(水と火と土と空気というざっくりしたくくりでは片付けられないってこと。)


しかし、実験結果と矛盾することもあった(分割不可能な最小要素である原子を分割しないと説明がつかない結果が出てきた。)これに対して、分子の概念を示して矛盾を解消したのがアボガドロの分子説だった。

出典:Wikipediaより


アボガドロの説は以下の通り

①気体は全ていくつかの原子が結合した分子から出来ている。
②全ての気体には、同温・同圧では同体積中に同数の分子が含まれる。

そして、その数がNA=6.02×10^23個だった。

そして、例えば質量がNgの物質の原子数については、以下の式で表すことが出来る。

N=W/M×NA=W/M×6.02×10^23[個]

(この式は放射線取り扱い主任者試験の1種で何度も使うので、練習しておこう!)

その後、20世紀には原子論がさらに進み、素粒子理論、クオーク理論が提唱される。

1964年にゲルマンとツヴァイクが3種のクオークを提唱、1972年には、小林誠・益川俊英が6種のクオークを提唱し、二人は2008年にノーベル賞を受賞した。

2008年のプレスカンファレンス(出典:Wikipediaより)

素粒子には、フェルミオン(物質を構成する粒子:フェルミ粒子)、ホソン(ボース粒子:力を媒介する粒子)があり、

フェルミオンはクオークとレプトンに分かれる。

クオークはu(アップ),d(ダウン),c(チャーム),s(ストレンジ),t(トップ),b(ボトム)の6種類に分かれる。

因みにuは電荷が+2/3、dは電荷が-1/3であり、陽子は[uud]、中性子は[udd]で構成されていて、陽子の電荷は2×(+2/3)+1×(-1/3)=1、中性子の電荷は1×(+2/3)+2×(-1/3)=0
となっています。

レプトンは、荷電レプトンとニュートリノに別れています。荷電レプトンは電子(e-)かミュー粒子(μ-1)があります。ミュー粒子は、宇宙線の構成要素の中で地上に降り注ぐ荷電粒子のうちの一つで、放射線計測の際に障害になる可能性があるそうです。(1種試験より)

また、ニュートリノは皆さんお馴染みのβ壊変によって起こります。β壊変により中性子が陽子にまたは陽子が中性子に転換したときに発生する素粒子であり、中性微子です。

また、粒子と反粒子が存在します。反粒子とは、全ての素粒子にに対して、質量や寿命やスピン等の物理量が等しく、電荷の正負が正反対の粒子のことです。

ドッペルゲンガーみたいなもので、粒子と反粒子は出会うと消滅してしまいます。

β+崩壊においては、放出された陽電子は空気中の陰電子と結合して消滅し、電子の静止エネルギーの分、二つのγ線を180方向に放出します。

この粒子と反粒子の関係をCP対称性というのですが、先の小林・益川氏は素粒子のレベルでCP対称性が崩れるタイミングが存在するのだ、ということを証明しました。

英語の文献ですが、CERNやいくつかの参考文献を掲載しておきます。

CP-Violation in the Renormalizable Theory of Weak Interaction(Oxford Journals)

A brief look back at a discovery that surprised the world of particle physics 50 years ago.(CERN COURIER)

Fifty years of CP violation(CERN)

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