血液が外に出た時

血液は液体部分の血漿と細胞部分の血球に分かれており、酸素を体内に供給したり、体内の環境を一定に保つ為の働きをしている。

また、万一、血液が外的損傷により外に出てきた時、血管は収縮し、血小板やフィブリンが血栓を作り、止血してくれる。これも血液の役割である。

(例えば、血管注射をする際、1回失敗すると、血管が収縮してしまうので、2回目は難しくなる。)

フィブリンはフィブリノゲンという血液中では液体になっているものが、体外に出た際に
不活性の線維となり、固まるようになっている。

外傷によって血管を損傷した場合、二手に分かれて止血する。
まず、コラーゲンが露出するので、これを血小板が粘着・凝縮し、一過性の止血血栓を作る。それとは別に、組織トロンボプラスチンというフィブリンのもとになるものを生成して、血小板の止血と重ねて止血血栓を行う。
(血小板自体は2〜5μmの大きさで25万個体内に存在するよ。)

フィブリンが形成されるプロセスには、血液凝固系と呼ばれ、第1〜3相に分かれる。

第1相では、第10因子のスチュアートプロア因子を生成する為に、いくつかの血液凝固因子、血小板因子が集まる。

第2相では、フィブリンを形成するために、第1相で出来た第10因子、第4因子(カルシウムイオン)、第5因子が集まり、プロトロンビン(第2因子)からトロンビンを生成する。

第3相では、フィブリノゲンがトロンビンと合体し、フィブリンを形成し、フィブリン線維が血餅を作る。

ただし、フィブリンは個体のタンパク質から構成されている為、身体はフィブリンをそのままにしておきたくない。そこで、フィブリンを溶かす次の段階(線溶系)に移行する。

これにはプラスミノゲンが活性化因子を受けて出来たプラスミンがあり、このプラスミンによってフィブリンが溶解し、フィブリン分解産物となる。

血液凝固因子は十数個存在するが、そのいずれかが欠損すると、血が止まらなくなる。

第8因子あるいは第9因子が欠損することで血液が凝固しなくなる病気のことを血友病と呼び、歴史的にもこの病気の存在は古くから知られて来た。

ロシアの宮廷では、血族結婚が多かった為に、遺伝的欠陥を持つ者が多く、血友病になる者が多かったという。

また、イスラムの掟の中で、男子は割礼をしなければならないとされているが、「血が止まらない家系の人間はしなくてよい」とされていたという。


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