CT画像再構成法

画像再構成法

J.Radonの画像再構成則
2次元あるいは3次元の物体はその投影データから無限集合から一意的に再生出来るということをおよそ100年前にJ.Radonは言っていた。
出典:Wikipedia


要は、何方向からも沢山撮った写真データを組み合わせれば全体の位置関係が一目で分かるような画像が作れる、ということです。

逆投影法とは?
セブンイレブンのコーヒーのふたがいくつも重なっているのを見て、
これが1°ずつ違うふたが360枚重なっていたらコンボリューションだな、と思った。

X線単純撮影なら、X線量子を広い面で捉えるので、平面上に2次元コントラストを得られるけれど、X線CTの場合は、量子を検出した段階では1次元データなので、それだけでは画像を得られない。

そこで、1次元データの結果を位置関係(角度)をもとに原画像へ反映させるのが逆投影という方法なのだ。

(これは、違う角度から撮った2つの写真を重ねてみると3Dに見える原理に近い)

I(t,θ)=I0e^-f(x,y)ds

…f(x,y)をX線ビームの進行方向sで積分したf(x,y)dsがs方向の減弱係数を集積したものとして表す。

FBP(フィルタ補正逆投影法)

単純逆投影法(出典:CT適塾)

フィルタ補正逆投影法(出典:CT適塾)


フィルタ補正逆投影法は投影データにフィルタ補正をかけて、原画像のボケをなくす方法だ。逆投影データを周波数成分に変換(フーリエ変換)すると、その中にはノイズ成分も含まれている。

細かい部分を観察したいのに、高い周波数成分にノイズが含まれていると臓器の情報が分からないぼやけた画像になる。(単純逆投影法の画像の方が辺縁がぼやけて見える)

そこで、高い空間周波数領域の信号を高く、低い空間周波数領域の信号を低く補正することで、より細かい輪郭を強調することが出来る。(よくみると、単純逆投影法の方も中心から放射状に線が見えるが、それがフィルタ補正でより強調されている。低いコントラストはより低く、高いコントラストはより高くなっている。)

フィルタにはきつめのRL(Ramachadran)とエッジが滑らかなSL(Shepp-Logan)フィルタがある。

CBP(コンボリューション逆投影法)

投影データにフィルタをかけるFBPに対して、実空間データに対してフィルタを積分(畳み込み積分)するのが、コンボリューション逆投影法である。RLやSLフィルタを実空間データに対してかけていく。

サイノグラム
出典:Auntminnie

サイノグラムは投影された一次元データをガントリの回転順に並べたもの。
原画像に似ても似つかないのは、色んな角度から撮った一次元データを縦に並べているから。

つまり各角度の一次元データを角度別に配置させれば元の原画像になる。

逐次近似法(AIDRなど)

逐次近似法とは、ノイズモデルを考慮しつつ繰り返し補正演算を行うことで、ノイズを低減する処理方法。例えば、線量が1,2,3,4というずれがある逆投影データにおいて、1.5,1.5,3.5,3.5という風に近似値にして平滑にすることでノイズ成分を編集し、滑らかな画像を得ることが出来る。

ただ、原画像から異なり、偽陽性や偽陰性を招く可能性も多分にあるし、演算処理が複雑なので、これまであまりやられてこなかった。

最近、コンピュータの演算処理能力が飛躍的に向上したことで、逐次近似法が再度注目を浴びており、CTの被爆線量低減につながるのではないかと言われている。

AIDR-3Dについてはこちら(医療従事者専門のリンクです)

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