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血液・血管異常による病理

これは1年前に書いたまとめなのですが、挙げていこうと思います。 基礎的な病理学が読影の鍵になると思うからです。 うっ血と充血:充血は動脈が拡張することで、流れる血液量が増加する状態のこと。うっ血は静脈の還流が障害を受けて、血液がうっ滞すること。充血に病的要素はないが、 うっ血は何らかの病的要素が存在することが多い。 (充血の原因) ①運動等によって組織の機能が亢進し、身体に必要な酸素量が増える。 ②恥ずかしい等の感情、一時的な要素によって血管収縮神経がまひする。(顔がぽっとする) (うっ血の原因) ①血栓による閉塞・腫瘍・ヘルニアなどによる圧迫 ②血液循環器系のダメージ→局所に障害発生(一部で滞ると全てに影響が出る) つまり、心臓に返ってくる血液が局所的に多くなっているということは、どこかで流れが障害されていることが多く、通常存在しない物理的圧迫があるか、左心室が不全になっていて、肺に静脈血がたまるケースのように、血液を流すポンプの役割がどこかで停止してしまっている時が考えられる。 あと、代謝が悪くなっていると、それだけで足がむくんだりするのもうっ血にあたる。 運動しないせいで筋肉のポンプが弱くなり、静脈血を戻せなくなっているからだ。(誰かが前、「俺、座るとデブだからうっ血しちゃうんだよな、、」っていってた。) 肺の毛細血管に血液が停滞すると(肺うっ血)、血管が拡張し、細胞間質に水分が漏出する。これを肺水腫と呼ぶ。これがもし、赤血球まで出て行くことになれば、出血状態となり、血胸と呼ばれる。(胸腔に水がたまることを胸水という) (側副路) 血管と血管とを吻合枝で連絡している血管の通り道を側副路という。 側副路は血液循環に障害が起きたときに、代わりに血液が流れる。 上腸間膜静脈・下腸間膜静脈・脾静脈・左胃動脈から門脈へ流れ、門脈本幹を通って 肝臓に血液が流れる。 超音波でも側副血行路の話が出て来るのでチェック!

糖尿病について(元Welbyインターンの方からレクチャー)

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糖尿病患者向けに記録管理アプリケーションを提供している Welby という会社でインターンをされていた方から糖尿病についてレクチャーをしてもらいました。 糖尿病をアプリで管理するのか?という方もいると思うので、アプリのイメージをいくつか拝借します。自分の身体のことを自分で可視化してもっと身近に分かるようになればいいのに、というのがヘルスケア×IT(ヘルステック)のいいところだと思います。<参考: HealthTechNews > iTunesプレビューから 糖尿病は血管内の糖が多くなることで様々な合併症を併発する多因子疾患です。それを調べる指標として血糖値とHbA1cという指標があります。HbA1cは酸素と結合して血液に酸素を供給するHbがブドウ糖と結合している割合を示したもので、赤血球、Hbのサイクルがちょうど2~3ヶ月程度なので、その間の摂取糖分により左右されます。 従って、その前日のご飯を抜いて検査日の血糖値を下げても、それまでの食事が甘いものが多かったらHbA1cの方に現れてしまうそうです。 (つづく)

免疫の働き

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<免疫とは?> 人は絶えず様々な外的環境にさらされているが、意図するしないに関わらず体内に異物が侵入する可能性がある。 体内に生体の正常細胞以外の物質、細胞、生物が侵入した場合の為に、それだけを排除する為の防御機構が個体には備わっている。 これを 免疫Immunitus と呼ぶ。 <免疫の分類> 免疫は、個体に生来備わっている 自然免疫 と個体が成長の過程で獲得していく 獲得免疫 が存在する。 自然免疫は、異物が侵入した際に第一に組織内で排除しようとする。組織球(マクロファージ、好中球、好塩基球など)がそれにあたる。これは異物の種類に関わらず機能するものなので、 非特異的防御機構 と言われる。 それに対し、獲得免疫は、母体から授かったり、個体が新たな抗原に対処する中で獲得していく免疫である。 これは、それぞれの抗原に対して、特異的に反応するため、 特異的防御機構 と言われる。 また、 獲得免疫において、 特定の抗原に対して特異的に免疫が働くことを 免疫応答 とよび、大きく分けて 液性免疫応答 と 細胞性免疫応答 に分かれる。 炭疽菌(オレンジ)を好中球(黄色)が貪食している様子(Wikipediaより) では、次に具体的にどのようなプロセスで免疫が機能しているのかを述べる。 <自然免疫の仕組み> 免疫はどのようにして身体を守っているのか? 体内では、 組織球(好中球・単球/マクロファージ) が異物を分解し貪食することで、異物から身体を守っている。 また、抗原刺激を受けて肥満細胞が脱顆粒を起こし、血管透過性が亢進し、炎症を促進させる。他にも、様々な炎症反応を促進させる因子があるが、おおまかには血管透過性因子と白血球走化性因子とに分かれる。 ・血管透過性因子 :ヒスタミン・セロトニン←肥満細胞・血小板 :キニン系←血漿成分のキニノーゲン(ブラジギニン・メチオニン) :プロスタクランジン←アラキドン酸の代謝産物 (内皮・血小板・好中球のリン脂質由来) :IL-6←各種細胞(炎症に関わる細胞) :ロイコトリエン←アラキドン酸の代謝産物 :補体・プラスミン←血液中 白血球走化性因子 :ケモカイン(MCP1・IL-8) :TNF/IL-...

炎症のメカニズム

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炎症は異物の侵入などの外的ストレスに対する生体防御反応である。身近な例だと、咽頭炎や肺炎、虫垂炎といったものは全て炎症反応である。 炎症は外からの観察・患者自身の体感覚をもとに以下の5徴候を認めることが出来る。 発赤・腫脹・疼痛・熱感・機能障害 炎症は、外的ストレスによりおこった組織障害を修復し、再生するプロセスであり、組織球や各種免疫、化学伝達物質 (ケミカルメジエーター) 、補体などが絡みあっている。 基本的には局所が腫れるというように、血管と血管周辺組織の反応から始まる。 ケミカルメジエーターの例 <血管透過性因子> ヒスタミン・セロトニン:肥満細胞・血小板 キニン系:キニノーゲン(血漿成分) プロスタクランジン:アラキドン酸(血小板など) IL-6:各種細胞 ロイコトリエン:アラキドン酸 補体・プラスミン:血液中 <白血球走化性因子> ケモカイン:MCP1 IL-8(インターロイキンの八番目) TNP IL-1:内皮細胞の接着分子 急性炎症のプロセス ①刺激を受けた部位の血管が収縮する。 ②ヒスタミンなど血管作動性アミンににより血管透過性が亢進 ③内皮細胞の収縮、細胞間の間隙が広がる。 ④血管外へ血液成分が浸出する。白血球が血管外へ遊出し、刺激部位へ遊走する。 急性炎症の種類 漿液性炎:漿液が浸出する炎症。例えば鼻水や腹水・水ぶくれなどはそのうちの一例である。 カタル性炎:粘膜上皮が剥離・浮腫となる。大腸カタル・気管支カタル・鼻カタル・急性胃炎などが挙げられる。 線維素性炎:漿膜(胸膜・心外膜・腹膜)に主に見られる。線維素が析出し、呼吸や拍動のたびにこすれる。この線維素が細胞の壊死した膜様物を形成する偽膜性炎症となる。 化膿性炎:比較的小さな異物を排除する好中球が多量に含まれる浸出液を生み出す炎症。 ①蜂窩織炎(間質を蜂の巣に見立てて、好中球が至る所にちらばっている様を示す) ②膿瘍(壊死部に 膿(うみ・のう) )が貯留 ③蓄膿症(体腔内に膿が貯留) ※ヘルペス:皮膚・粘膜表面に現れる膿包 ④壊死性炎(壊死の目立つ炎症) ※結核:病変部で乾酪壊死 胃潰瘍:胃液→組織融解→虚血→壊死へ 刺...

側副路はバイパス

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2014/9月追記 側副路は血管と血管同士を吻合枝によって連絡する血液のバイパス通路である。側副路は特に静脈に多い。 普段は、より大きな主血管を流れている為に、側副路にはあまり血が流れないのだが、 身体に病変が現れると、側副路に血液が迂回する。この状態は様々な疾病を引き起こす前兆としてあらわれ、臨床的に問題である。 側副路の事例として特にあげられるのが 門脈圧亢進症 で、これは原因の8割方が肝硬変である。 普段血液の滞留しないところに血が集まる為に、静脈瘤を発生し、破綻性出血のもとになったりする。うっ血するとうっ血した血管よりも後ろの血管に障害がおこる。つまり肝臓に流入する血管は門脈、よりさかのぼると胃静脈・腸間膜静脈などなので、そこに障害がおこる。。 超音波プローブで観察した際に肝動脈の分枝が太くなった うっ血肝 を見た時、他の場所に障害が無いかをチェックする必要がある。 初歩からはじめる超音波検査室さんより拝借 メズーサの頭:臍静脈⇄浅腹型静脈⇄大静脈 食道静脈瘤:門脈⇄胃静脈⇄食道静脈 痔核:腸間膜静脈⇄直腸⇄肛門 脾腫:脾臓のうっ血肥大。 門脈圧亢進症は超音波検査でも観察することが可能なようです。 → 初歩からはじめる超音波検査室さんより 超音波については こちら の記事を参考下さい。 超音波の仕組みと検査の概要 (2014/9/2)

血液の循環

<循環器系の役割> 循環器系によって、血液が体全体へと循環し、必要な酸素や栄養と不要物の交換をしている。 全体として酸素の割合の多い血液を動脈血 、 二酸化炭素の割合の多い血液を静脈血 という。 <心臓・血管による循環の仕組み> 心臓から出ていく血管を 動脈 、心臓へ戻っていく血管を 静脈 とよぶ。動脈から送り出し、静脈で戻ってくる。動脈に流れる血液は、心臓により押し出される力で流れていく。静脈に流れる血液は、その血管の周囲の筋肉が押し出す圧力、右心房の引圧、呼吸による引圧があり、また重力に逆らって流れないように、各場所に弁があり、一定の場所で逆流を防いでいる。 <心臓の構造> ・内部構造:心内膜・心外膜・心筋 ・栄養血管:冠状動脈→前下行枝・回旋枝・後下行枝 ・右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁→肺動脈→肺→肺静脈→左心房→僧帽弁→左心室 →大動脈弁→大動脈 <特殊心筋と活動電位> 心臓には神経がなく神経の代わりに分化した特殊心筋によって電気刺激を伝えて、心房心室を順番に興奮させている。心臓の活動電位は手足に電極をつけて計測することができ、+-で心臓に向かうか離れる向きかが分かる。また心電図はPQRSTの波に分かれており、それぞれが心房興奮・心室興奮の指標になる。なので、心電図を見れば心臓が正常に活動しているかどうかが分かる。 (脱分極って心臓の電位がどうなるんだっけ。。。そして、どういう指標になるんだろう。。) <血管の流れ> 上行大動脈→大動脈弓→腕頭動脈・鎖骨下動脈・総頸動脈 総頸動脈→内頚動脈・外頚動脈→wills動脈輪で脳内血管が連絡する。。 大動脈弓→胸大動脈→腹大動脈→総腸骨動脈→さらに分枝して両足の血管へ。。 腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈:一対しかない血管で、最終的に肝動脈(肝臓の栄養血管)と門脈(肝臓の機能血管)を経由して肝臓にいたる。 この3つは内臓から肝臓へ向かう静脈のため、グリコーゲンなどの様々な栄養成分が含まれている。肝臓内に栄養を貯蔵する。 門脈の血流が何らかの障害によりうっ滞すると、門脈圧亢進症となり、臍動脈や胃動脈、食道、直腸と連絡する血管にも影響がおこり、痔や静脈瘤、メズーサの頭といった兆候を示すようになる。 <血栓> 本来血管内部に傷がつくはずがなく...

細胞・組織の病理

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細胞に生じる様々な変化に対応しきれず、細胞が機能不全に陥る場合がある。これを 細胞障害と呼ぶ。 細胞障害には変性・壊死・萎縮の3つのプロセスがある。 (過程) 変性:細胞にストレス・刺激が加わり変化する。(例:脂肪変性など) 壊死:変性が回復不能なレベルまで達し、細胞が機能しなくなり、組織が死ぬ。 萎縮:容積が減少する。 変性した細胞もそのまま壊死するのではなく、元の状態に再生したり、別の形に化生したりすることもあり、一概に上記のプロセスをとるとは限らない。 (原因) 虚血:細胞に血液が供給されずOが欠乏する。 化学物質中毒:薬の副作用など化学物質の影響により、細胞が変性する。 病原微生物 放射線被爆 その他、遺伝子障害、栄養障害、老化など (例) ・脂肪肝…肝細胞が大きな空胞となり、核が細胞内の隅におしやられる。 …肥満に寄る単純性脂肪肝と、お酒の飲み過ぎによるアルコール性脂肪肝がある。 →転じて肝障害へ。 中央のLver fibrosisが脂肪肝(wikipediaより) 脂肪肝のCT画像(wikipediaより) ・壊死(necrosis)…非可逆的な障害,業界用語でネクれているなどと言うのだとか。。 ①凝固壊死 ②融解壊死 ③特殊な壊死:乾酪壊死・壊疽(gangrene 腐敗菌の感染・湿性)・ミイラ化(乾性) 死んだ細胞は 加水分解酵素 を持つライソソームなどによって分解され免疫系によって排除される。 アポトーシス:細胞の自己破壊プログラム。プログラムされた細胞死。 (apotosis)  これが機能していれば、多くの病は未然に防ぐことが出来る。 アポトーシスの由来は木の葉や花びらが散っていく様(細胞も死ぬとなくなる)から由来している。 胎児が持っている水かきも成長過程で退化していく。これは水かき細胞のアポトーシスである。 壊死とアポトーシスの違いは、壊死の場合が 外的要因により、細胞が対応出来る以上の変性をきたした時に細胞が死滅する のに対して、アポトーシスはあくまで不要になった細胞を 生体が能動的に死滅させている 、という違いがある。 例えば、壊疽の写真などを見ると明らかに異常事態だな、と分かると思うけれど、 アポトーシスはちょうど木の葉や...

生活習慣病

昔の病気は結核などの流行性疾患であったけれど、最近の死因の大半は生活習慣病になっている。 例えば、最近の調査によれば、死亡原因のトップ3が生活習慣病で、第1位ががん、 第2位が心疾患、第3位が脳血管障害・肺炎なのだという。 (三大生活習慣病) これは一つのこれが原因だ!、という疾患ではなくて、様々なことが絡み合って疾患を患っている 多因子疾患 である。 おおまかには… 1遺伝要因:親の遺伝でかかり易い体質(先天的に血糖値の調整機能がうまく働かない糖尿病など) 2外的要因:病原体・化学物質、放射線を身体にとりこんで発症(内部被爆によって白血病などを患うなど) 3生活習慣要因:定期的な習慣によってホメオスタシスを崩してしまう。(食べ過ぎ飲み過ぎ、タバコ喫煙、運動不足など) 特に遺伝しには様々な遺伝情報があり、遺伝情報によってリスクや発症し易さなどが変わってくる。この危険因子の有無によって病気のかかり易さ・薬のききにくさが数十%も変わってくるらしい。 この生活習慣病によって死亡するリスクがより高まる。 (高血圧で1.5倍、糖尿病で1.6倍) 高血圧症:正常血圧 収縮期130mmHg 拡張期85mmHg                  高血圧  収縮期140mmHg 拡張期90mmHg ・血管が細くなり、体内に巡る血液の量が減ることで、血圧自体も高まる。 ↓ 動脈硬化で心臓のポンプの動きがより必要になる。血管への圧力が高まる。 ↓ 虚血性心臓病・脳血管障害を発症する可能性が! 対策:日常の生活習慣を改善することで、健康を保つことが第一です。それにより生活習慣病に対する医療措置による医療負担の削減にもつながるからです。 僕も太ってきたので運動します。。 ・・・肥満症:BMI25以上(体重÷身長×身長) 僕の場合:60kg÷1.64m×1.64m こちらで簡単にBMIの計算ができますよー

病理学のカテゴリー

病理学(pathology) は疾病(disease)の発生機序を研究する学問です。病因と経過をとらえて、今後の医療行為における知識・技術の向上、教育や医学の進歩を目指してるんですね。 カテゴリーとしては、病理の発生機序全体における全身の各臓器に通じる一般原則をとらえた 総論 と、各臓器ごとの病態をとらえた 各論 に分かれます。 イメージとしては、「ウイルスや細菌に感染すると健康ではなくなる」が総論で、「ノロウイルスにかかると胃腸の機能が崩れ、吐き気をもよおす」が各論だと言えば分かるでしょうか。。 病理学のアプローチでもいくつかに分かれます。実験するか、人の身体を切ったり、自然と身体からとれたものを使うか、などなど。 ①実験病理学 特定の疾病が何故起こるのか病因究明を目的としている。実験病理学は近代になってから急激に進歩した。コッホが提唱した三原則は実験病理学の基礎的な考え方を示している。 1感染症には特定の微生物が存在する。 2その微生物は分離培養出来る。 3分離した微生物は感受性のある宿主(しゅくしゅ)に感染させると、  同一の感染症を発症する。 ②人体病理学・・・主に3つに分かれます。 1:病理解剖(autopsy:剖検) 病気が十分に観察されて、治療や看護を受けた患者が死亡したときに行われる。 解剖を行うことで、病因の特定、診断・治療に対するフィードバックを行うことが出来る。 解剖することで、主病変や死因を正確に解明することができ、病態を確認し、治療が本当に正しかったのか(効果判定)、臨床診断が適切だったのか(妥当性)を確認することが出来る。 これにより、医師や看護師の知識や技術が向上し、医師の教育や医学の進歩発展にも貢献することが出来る。 2:診断病理学(diagnostic pathology 病理診断) 人体から病理材料を採取することで病理を確かめる( 生検 という) 人体の病気になっている生体組織の一部を針を刺す等して採取し、顕微鏡で観察し、 病変の有無やその種類を判断する。 (先生曰く、悪いものが出ないと無駄骨みたいな感じになるので、何回もさして悪性腫瘍 を探しちゃうっていうこともあったりするらしい。。。汗) 外科病理学も似ているが、外科の場合は 肉眼的所見に基づいて 判断...