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斜め読み:コロナウイルス(COVID-19)に対するCT検査の考え方について

AuntMinnieというアメリカの診療放射線関係のメディアによれば、ACR(米国放射線学会)がコロナウイルス(COVID-19)に関するステートメントを3月初旬に出していた。 ACR recommends sparing use of CT for COVID-19(March 11) https://www.auntminnie.com/index.aspx?sec=sup&sub=cto&pag=dis&ItemID=128426 要約すると、以下の通り ・スクリーニングにCTはあまり有効じゃない。(Clinicians should not use CT as a first-line or screening test to diagnose COVID-19.) ・診断がついて入院してる患者さんの経過観察で使った方が良い。(Clinicians should reserve CT use for hospitalized, symptomatic patients with specific clinical indications for CT.) ・患者をスキャンする際は感染源を増やさないように適切な処置をすべきだ。(Facilities should apply appropriate infection control procedures when scanning patients.) ・必要に応じてポータブル撮影も必要かも(Facilities may consider using portable radiography units when x-ray is medically necessary.) ・撮影したら撮影機器は滅菌し、1時間は撮影室の使用禁止すべき(換気率による) (facilities consider not only thoroughly cleaning medical imaging machines and devices but also suspending use of imaging rooms for roughly one hour between imaging infected patients, depending on the roo...

CT,MRIだけでは認知症は診断出来ないのではないか?

認知症はCTやMRIでわかるのか? という記事を見かけたので、書いてみようと思います。 認知症の検査の為に、CT,MRIを撮ることがあります。高齢者専門の病院だと特にその傾向が強いです。ただ、画像検査だけで鑑別診断をすることは出来ないので、いくつか他の検査の結果等とあわせて判断します。 https://info.ninchisho.net/dem_diagnosis/d10 認知症のなかにもアルツハイマー、レビー小体型、脳血管性、前頭側頭型などあり、海馬の萎縮、大脳基底核の萎縮等、見るべき箇所は分かれていきます。経過観察で萎縮が進行していないかなどを調べます。 認知症の種類(認知症ねっと) また、認知症の進行を調べる為に 長谷川式(HDS-R) やMMSEという手法で点数化したりします。 HDS-Rの場合、30点中、24点とかならそれほど進行してないかな、13点とかだとあまり問診しててもお話が通じないかなといったおおまかな判断をします。 長谷川式の質問形式を同期でお互いにやってみましたが、若い人ならあまり意識しなくても当然出来る形式です。MMSEはやったことが無いので分かりませんが、、 進行している人は、MRIで最初のローカライザー(CTでいうスカウト)を撮っている時にも既に分かるくらいです。 VSRAD((Voxel-Based Specific Regional Analysis System For Alzheimer's Disease)というソフトウェアがあり、認知症の為の検査の場合は、1.5T MRIでシーケンスを走らせながら、ソフトウェア専用の端末に画像を送り、解析させサーバーに送ります。 このソフトを使う意義は、3次元で健常者とのずれを比較してスコア化できると言うことです。アルツハイマー型認知症で早期に萎縮すると言われる海馬傍回という箇所は、スライスを一枚ずつ見ていると分かり辛いです。2Dだと厳しい。 なので、ピクセルじゃなくてvoxelで見よう、ということなんです。簡単に言うと。。 それぞれの患者さんの違いに対してどう対応するのかに関しては、Optimized VBM,DARTELといった非線形変換とかのプログラムが進化していて、精度もだんだん高まっているということです。詳しい原理は、英文途中...

CTとMRIのDICOMデータから3Dプリンタで出力してみた。

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この前、MRIのDICOMデータから、3Dプリンタで出力するというのをやってみました。3Dプリンタは学校のものを使いました。 実際のやり方に関しては、以下の記事をご覧下さいな。 MRIやCTなどのDICOM画像を3Dモデルに変換する方法

これなんだ?

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これは古いCTを交換した時の様子です。 どれがどれだか教科書を見ながら想像してみましょうw  時間があったら、解説をのっけていこうと思います。 他にも透視装置を交換した時、I.I.を見せてもらったことがあります。。 東芝の那須工場行ったことがあるのですが、写真撮ればよかった。

X線CTは工業用と医療用で何が違うか?

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http://www.nvs.co.jp/files/1513/6963/8014/rd200801.pdf   X線CTは、医療だけでなく、物体の内部構造を非破壊的に調べる為に工業用、研究用に使われることがあります。リンクはその一例です。  浜松ホトニクス さんや 島津 さんが工業用メーカーの例です。  前、五月祭に伺った時は、外骨格を持った昆虫の模型をX線CTの3D画像を元に3Dプリンタ(インクジェット方式)でやってました。  たしか、管電圧は80kvだったと思います。 医療用よりちょっと低め。 工業用もX線をあてて、構成物質の違いをX線減弱度で差をつけることで、画像を作っている点は変わりません。  出典: 日本ビジュアルサイエンス株式会社 ただ、工業用の場合、人が入ることが無いので、ターンテーブル方式になっています。調べたいものを真ん中において、電子レンジのようにくるくると回転させながらX線をあてれば、360度方向の情報を得ることが出来る。  しかし、人体を調べる際には、人が大きい電子レンジくらいの空間の中に入って検査するのは非現実的なので、 寝台に動かないで寝てもらって、X線管が一定周期を周回中に人体が通過させることで断層像を作る構造になっています。  出典: wikipedia 工業用のCTの技術を活用して可搬型の小型の医療用CTとかもっと開発されてもいいと思いますけどね! http://news.mynavi.jp/news/2013/11/01/062/ こちらは、浜松ホトニクスの工業用CTの記事です。デュアルエナジーはあまり医療用では普及していなかったとあります。フィリップスかシーメンスが確かデュアルエナジーをやっていたのではないかなと思います。 SPECTとかもやっているのか。。

CTDI,DLPの測定事例

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 CT 断層撮影は、 X 線管と検出器を回転させながら患者に X 線を照射することで、得られた一次元データから、二次元、三次元の画像再構成を行い、患者の体内の情報を調べる手法である。現在では、 X 線管と検出器が一体となってガントリが回転する第三世代が主流となっている。  通常の一般撮影と比べて感度がよく、わずかな X 線減弱もモニタ上で可視化することが出来る。ただし、高管電圧のもと、長い時は秒単位で撮影する為、一般撮影よりも遥かに大線量を患者に浴びせることになる。  体内の細部に至る情報まで調べることが出来、 CT 画像をもとに外科手術の計画などを立てる重要な情報源にもなるが、一方で被曝線量が大きいため、確率的影響を考慮に入れなければならない。   2004 年に英国 Lancet 誌に掲載された「 Risk of Cancer from Diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries 」という論文では、日本では被曝によるがんの誘発率が非常に高いことが指摘され、その要因として CT の被曝が考えられ、線量低減に対する意識が高まった。  一方で、被曝を恐れて、 mAs 値 ( 時間 × 管電流 ) を一定以上に設定しなければ、十分な情報を得られず、結果として不要な被曝をもたらしてしまう。  被爆線量と画像情報はトレードオフの関係にあることを考慮した上で的確な撮影技法を取得しなければならない。 ということで、よくCTの被曝線量の計算は行われているらしい。  被爆線量の測定には、ファントムを用いて CTDI という単位をもとにして行う。以下にその概略を示す。 (JIS Z4752-3-5 を参照 ) ① CT 線量指数 100( 以下CTDI 100 と述べる。単位 :Gy) CTDI 100 では、前後 5cm 、計 10cm の範囲で照射された被曝線量を調べた値であり、以下のように計算される。 D(z): スライス面に対して垂直な線に沿った線量プロファイル N:X 線源の 1 回転において生成されたスライスの数 T: 公称スライス厚 ② 重み付けCTDI ( 以下CTDI w CTDI...

頭部CTの診断方法(正常画像と並べてわかる新編頭部CT:M2PLUSより)

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基本HU(ハンスフィールドユニット)の違い、線減弱の相対値を見ている。 HU値の違いについて分かった上で以下のことを考えてみる。 高吸収病変 : ①生理的石灰化②急性期病変 低吸収病変 : それ以外 …血管支配領域: 脳梗塞   それ以外: 脳腫瘍、脳炎 造影効果: ①血液脳関門の破綻②血管の増生・拡張 ③頭蓋内の血液脳関門を欠く組織は造影効果を示す。下垂体・松果体・脳室脈絡叢、硬膜。 血液脳関門って変なワードだと思うけど、しょっぱなにやった細胞レベルの出血、破綻、変性について思いを馳せて欲しい。あれが脳で起こったら、その変化が線減弱のわずかな変化として現れてくる。 解剖をもとに読影を考えようという時は、ベースとしては解剖学でやったことから類推してきっとこうなるだろうというのを、基本的な解剖の知識をもとにしていいから推論するのが一番近道な気がする。国試レベルでは、印刷の関係とか分かり辛さもあってそんなにマニアックな症例は出にくいだろう。 あと、医療従事者向けの書籍の方が、時間のない医療者向けに時短で分かり易く伝えようとしているせいか、解説が凄い分かり易く書いてあったりする。 M2PLUS の書籍とか「病気がみえる」シリーズとか。「病気がみえる」シリーズ買いたいな。 M2PLUSさんの書籍は、 Co-med Cafe に来たら、いつでも読めるよ。

胸部CT検査

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出典: 飯塚病院放射線科 胸部CT検査では、基本的に縦隔と肺野レベルの2つパターンを出すことが多い。 X線撮影で分からない点を精査する為にCT検査を行う。 胸部異常影の検出と正常構造との位置関係、リンパ節評価が検査目的となる。血管疾患を評価する目的で検査を行うこともある。 肺野は基本造影しても変わらないことが多いので、あまりやられない。 検査時は大きく息を吸った状態(深呼気)で撮影するのが基本である。大きく呼気をすることで、肺胞領域と疾患部や肺動脈とのコントラストがよくなり、疾患の性状を把握し易いからである。肺がふくらんだりしぼんだりしてしまうと、その分のずれが情報量を減らしてしまう。 検査を行う上での基準を決める為にまず事前にX線管も寝台も動かさないで撮影する。これをスキャノ画像という。これにより位置決めして撮影を行う。(スキャノ画像の違いは、撮影しているX線管、SID、検出器の違いだけれど、ほぼFPDと同じ原理と言えるかも) 観察する主な疾患 出典: Radiopaedia (右下葉肺炎) 肺炎…細菌が気道から肺に感染し、炎症を起す。炎症のある部分がややCT値が高信号になる。これは空気と比較したときの線減弱係数がやや高くなるからだと考えられる。(水=0、空気=-1000 線維化した組織は40~50くらい?) 出典: Radipaedia 慢性閉塞性肺疾患COPD…よくタバコにより引き起こすことが多いとされる。従来は慢性気管支炎、肺気腫と呼ばれていたが、近年発生機序をもとに改名。肺野に気腫性変化が著名である。 気胸…肺から空気がもれて、胸腔にたまっている状態をいう。肺が空気に押されて小さくなっている。自然気胸・交通外傷による気胸等がある。(気胸のあんまりいい画像が無かった。) 出典: Radiopaedia 原発性肺癌…気管・気管支・肺胞のいずれかの上皮から発生する上皮性悪性腫瘍の総称。腺癌・扁平上皮癌・大細胞癌・小細胞癌と組織が多彩なことが特徴。 出典: Radiopaedia (転移性の悪性黒色腫) 転移性肺腫瘍…肺への転移型式は血行転移が圧倒的に多く、転移性腫瘍の原発臓器では、肺・膵臓・肝臓・大腸に多い。(黒色腫も腫瘍の一つとして画像に挙げていますが、間違って...

CT・MRIの日常点検項目

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試験で出来なかったから、おさらいしておく。。 こんなものがあるようです。 放射線関連装置の始業・就業点検表について(2007/12/5) (JIRA:日本画像医療システム工業会) これは装置の精度確認を行う日常点検項目とは違うのか。。 出典: Phantom Laboratory CT 日常点検項目 ①ノイズ:水ファントム画像の特定区域内のピクセル値の変動の標準偏差 ②コントラストスケール:物質と水のCT値差に対するそれぞれの線吸収係数の差 ③空間分解能:画像評価において異なった物質を解像出来るX線CT装置の能力 ④スライス厚:スライスプロフィールの半値幅 ⑤高コントラスト分解能:周囲とのX線吸収差が大きい時、画像上で識別出来るもの ⑥低コントラスト分解能:周囲とのX線吸収差が小さい時、画像上で識別出来るもの …CT値の差が大きい、小さい時にどれだけ画像上で正確に調べることが出来るか。 ⑦線量指数(CTDI) …CTDI=∮ +10mm~-10mm D(z)/N×Tdz スライス面に対する垂直線上の線量プロファイルの積分を公称スライス厚と単一スキャンにおいて得られる断層数との積で割ったもの。 CTDIの測定事例 を掲載したので、よかったら見て下さい。 出典: Phantom Laboratory MRI 日常点検項目 ①SN比 ②均一性 ③スライス厚 ④空間分解能 ⑤幾何学的ひずみ CTでがCatphanファントムがありますが、MRIも似たようなものがあるんですね。 MRI 日常点検ファントム (日興ファインズ工業株式会社) Phantom Laboratory (ファントムの紹介が沢山されているページ) これと似ているものとして始業時、終業時点検があります。 CTの項目だけ紹介しておきます。

3Dプリンタによる臓器モデリングはCTやMRIの技術革新の賜物

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出典: NEWS ZERO 公式Facebookページ 先日、3Dプリンタによる臓器モデリングが紹介されていました。 Bio-Texture Modeling(生体質感造形)は、 ファソテック社 の3次元設計技術と 神戸大学大学院医学研究科 との医工連携で開発された生体モデル製作技術だそうです。 CTやMRIなどの医療診断装置から得られたDICOMデータから人体の各部位(骨・臓器など)の質感(可視化・感触・硬さ・柔らかさなど)を持った精密な3次元医療生体モデルを作ることが出来るのです。 CTのスライス厚が極限まで薄くなったり、MRIのSN比が向上したことで、精度の高いDICOMデータが得られるようになってこうしたことが出来るようになったんですね。 (そういえば、この前、CTとMRIの日常点検項目を書きなさい、という問題があって出来なかったな。。。復習せねば。。。) 出典: ファソテック 内部の血管まで再現されていて、CTのアキシャル断層像では分からなかった全体像が手に取るように分かりますね。因みに、肝実質を担う肝細胞と門脈系は別々の物質でモデリングしています。すごすぎ。学校の授業でこれ見たら一発で肝細胞がんのこと分かるじゃんか。。! 一方で、CTやMRIは元々X線の線減弱係数の分布や核スピンの差を励起パルスを利用して可視化しているに過ぎないので、なんでもかんでも組織の構造を正確に識別して3D化できる訳ではないよね、、という話もあります。 医療における3Dプリンタの大きな大きな誤解( -ズバッと!東大な日々。- の、その後の日々。 ) アイソロピックでノイズの少ない画像を得る為には、高解像度のCTやMRIとかを使っていて、そう簡単に誰もが発注して使える代物でもないと思います。。が、それでも、インパクトとしては凄いですよね。 この3Dモデリングを開発している 先生の本 も面白いです。 Amazon より

CT画像再構成法

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画像再構成法 J.Radon の画像再構成則 2次元あるいは3次元の物体はその投影データから無限集合から一意的に再生出来るということをおよそ100年前にJ.Radonは言っていた。 出典: Wikipedia 要は、何方向からも沢山撮った写真データを組み合わせれば全体の位置関係が一目で分かるような画像が作れる、ということです。 逆投影法とは? セブンイレブンのコーヒーのふたがいくつも重なっているのを見て、 これが1°ずつ違うふたが360枚重なっていたらコンボリューションだな、と思った。 X線単純撮影なら、X線量子を広い面で捉えるので、平面上に2次元コントラストを得られるけれど、X線CTの場合は、量子を検出した段階では1次元データなので、それだけでは画像を得られない。 そこで、1次元データの結果を位置関係(角度)をもとに原画像へ反映させるのが逆投影という方法なのだ。 (これは、違う角度から撮った2つの写真を重ねてみると3Dに見える原理に近い) I(t,θ)=I 0 e^-f(x,y)ds …f(x,y)をX線ビームの進行方向sで積分したf(x,y)dsがs方向の減弱係数を集積したものとして表す。 FBP(フィルタ補正逆投影法) 単純逆投影法(出典: CT適塾 ) フィルタ補正逆投影法(出典: CT適塾 ) フィルタ補正逆投影法は投影データにフィルタ補正をかけて、原画像のボケをなくす方法だ。逆投影データを周波数成分に変換(フーリエ変換)すると、その中にはノイズ成分も含まれている。 細かい部分を観察したいのに、高い周波数成分にノイズが含まれていると臓器の情報が分からないぼやけた画像になる。 (単純逆投影法の画像の方が辺縁がぼやけて見える) そこで、高い空間周波数領域の信号を高く、低い空間周波数領域の信号を低く補正することで、より細かい輪郭を強調することが出来る。(よくみると、単純逆投影法の方も中心から放射状に線が見えるが、それがフィルタ補正でより強調されている。低いコントラストはより低く、高いコントラストはより高くなっている。) フィルタにはきつめの RL(Ramachadran) とエッジが滑らかな SL(Shepp-Logan) フィルタがある。 CBP(コンボリューシ...

CTの画像コントラスト

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CTのコントラストはどうやって決まっているのか? CTは人体の身体を輪切りにした画像(断層像:アキシャル像)を観察することで、医療現場の診断に貢献している。 CTはX線管と検出器をガントリによって回転させ、各組織のコントラストを0(黒)~255(白)のグレースケールに振り分けることで表現している。 コントラストの基準となるのは、 CT値 である。 CT値=μtーμw/μw×1000 (μt:組織の線減弱係数 μw:水の線減弱係数) 水の値を0 、 空気を-1000 とした時、各組織のX線光子量を相対値で示したものが CT値(HU:ハンスフィールドユニット) であり、観察したい組織にコントラストをその都度あわせて読影をおこなう。 利用しているphoton数が多いこともあり、X線S/FシステムやCRと比べても非常に ダイナミックレンジが広くとられている。 その代わり、被曝線量も非常に多いので、最低限の線量で撮影して、後で補正処理する 逐次近似法 (ASiRなど)が最近注目されている(らしい 頭部CT:2mSv 胸部CT:5mSv 自然放射線による年間被曝:2.4mSv(世界:Rn>K40>C14) 例えば、頭部CTのコントラストは、脳細胞の濃度 (CT値:40=グレースケール127~128) を基準にして、低い濃度 (0以下=グレースケール0) を黒、高い濃度 (80以上=グレースケール255) を白として表現している。その為、出血していれば、血液に含まれる微量のFeによって若干高いコントラストになり、脳細胞が壊死して溶解した部分が低コントラストになるのを観察出来る。 骨のようなX線減弱が大きな組織のCT値は大きいので、基本的に高い輝度で表示される。その為、CT値の基準(WL:Window Level)を500~高く設定すれば、骨条件の画像を描出することが出来る。 空間分解能はピクセルサイズに依存する。マトリクスサイズ=512×512なので、FOV(撮影視野)が広くなればなるほど、ピクセルサイズは大きくなる。 ピクセルサイズ=FOV/マトリクスサイズ FOV直径480mmのピクセルサイズ=480mm/512=0.94mm <人体の構成要素のCT値>

X線CT装置の仕組み

本日X線CT装置の解体があり、非常に参考になりました。学校や病院、施設においてあるX線関連の装置は古くなった段階で取り替える必要が出てきます。 その時に、先生にお願いして、その工程を見せて欲しい、と言えば見せてもらえるかもしれません。 現場の技師さんは搬入、搬出の立ち会いをする際にイニシアチブをとることがある そうなので、実際にどのような中身になっているかを実機で確認する機会があって、非常によかったです。 CTはX線照射部がぐるぐる回転し、その照射面へベッドに固定された患者を移動させていくことで、全身のX線濃度を検出、デジタルに変換して画像として処理するのです。 CTのX線照射は 回転陽極 によってX線が放出され、 ビームトリマー によってX線が絞られ、人体に照射されます。 普通陰極線は細長いくだのようになっていますが、回転陽極は円状になっていて、軸が設定されており、ちょうどコインのようにぐるぐると縦に回るようになっています。 そして、回転陽極の電気をまかなう為に、 スリップリング というものが使われています。例えるなら パンタグラフ です。電車は沢山のパンタグラフから電気をもらって走っていますね。 パンタグラフが電線との接点をもっていて、電気を常に供給出来る状態 になっている為に走っている。スリップリングはそれがちょうど円になったもので、回転運動をするたびに接点があたり、電源から電気を供給出来るようになっているのです。 電気エネルギーは99%が熱エネルギーに変換されます。仮に130kV×200mA×20秒だとすると520000Ws 1J=1Wsなので、520000Jの熱量に変換されます。 1J=0.24calなので、520000×0.24=124800cal 3000mlの水を40℃以上上げることが出来ます。 このように、非常に高い熱量を扱うため、 HU( ホットユニット :節子それ、ヒートユニットや) も大きくなっています。 高い電力を扱う為に、インバーター制御を取り入れて装置を小型化しています。 IGBT というインバーター制御の為の スイッチングデバイス があり、直流を交流へ変換。周波数の調整により、高い電圧でも扱えるようにしています。このスイッチは半導体スイッチで、ぱたぱた動くことで交流が発生します。 こうして...