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組織荷重係数の覚え方。

エロと絡めると、わりと覚え易いことに気づいた。 組織荷重係数 0.01…わずか0.01なんて、 骨と皮だのう 〜(骨、皮膚、唾液腺、脳) 0.04… 好色な官房 長官(甲状腺・食道・肝臓・膀胱) 0.08…生殖腺 0.12… 残り は おっぱい の配位結合「 はいいけつごう 」(肺・胃・結腸・骨髄・乳房・残りの組織) 組織荷重係数は全ての組織分を足すと1になるように構成されている。 組織荷重係数×等価線量(Sv)の合計値が実効線量(Sv)である。 人体への影響はどの臓器に放射線を浴びたかによって変わってくる為、算出の仕方もそれによって変えないといけない。

10Gyを浴びても半分生き残っている生き物

Gigazineで紹介されていた核戦争になったらゴキブリが生き残る?という特集を紹介してみようと思います。(何故 ゴキブリに照射された放射線量は1000rad、1万rad、10万radの3種類。1000radは人間だと10分で死に至るというほどの放射線吸収量ですが、ゴキブリは半数が生き残りました。また、1万radでも10%が生き残り、10万radだとすべてのゴキブリが死亡しました。 ここで出てくるrad(ラド)は吸収した放射線の総量を表す単位。物質1kgから1J(ジュール(の仕事に相当するエネルギーが与えられるとき(1J/kg)の吸収線量を1Gy(グレイ)と定義しますが、1rad=0.01Gyにあたります。放射線関係のニュースでは「ミリシーベルト」「マイクロシーベルト」が用いられていますが、こちらは1Gyに放射線の種類ごとに定められた人体への障害の受けやすさの係数をかけて算出するもので、あくまで人体に対する影響を考えるための単位として作られているため、「1rad=何シーベルト」という換算はできません。 実験結果からは「ゴキブリは人間よりも放射線に強く、核戦争で人類が滅亡しても生き残っている可能性がある」というが確認されました。(出典:Gigazineより) 1rad=0.01Gyなので、1000rad=10Gyです。人間は4Gyで骨髄死、8Gyで腸管死を起すと言われているので、さすが1億年以上生き残っている生き物だけあるなと思いました。  ゴキジェットの変わりに、 小型のマグネトロンを仕込んだγ線レーザーで部屋を汚さずにゴキブリを殺せる携帯装置 とか将来作れないかなと思いましたが、ダメですね。 ゴキブリ以上に放射線に強い生き物もいるそうですが、、  <参考資料> Gigazine

放射線治療の治療効果について(ざっくりメモ)

治療方法 例:1回2Gy 20~40回分割照射 <治療に有用となる基準> NSD,TDF,NTCP,LQモデル 治療可能比TR=B(正常)/A(腫瘍) 分割照射や照射野の工夫によって正常細胞の線量を増やすか、 高LET、ブラッグピークを持つ粒子線などを利用することで、 腫瘍への効果を高める。 <治療効果の判定> CR:安定に消失 PR:最長径が30%以上減少 SD/NC:±0くらい。 PD:再長径が20%くらい増加。 QOL(ECOG) 0~4パラメータ 無症状 軽度の症状(軽い家事や事務作業が出来る) 介助が必要(歩行、身の回りのこと) 日中50%以上は就床 20~45Gy リンパ腫,白血病、精上皮種、髄牙細胞腫、Wilms腫 45~70Gy 扁平上皮癌,乳癌,子宮体癌,肺癌,甲状腺

温熱療法

細胞は温度が42.5℃以上になるとホメオスタシスを維持出来ず死に至る。この特性をもとに、外部から加温することでがん細胞を死滅させる手法が温熱療法である。 熱電対の性質(ペルチェ、ゼーベック、トムソン効果)を用いて、電圧を熱エネルギーに変換して加温を行う。 加温処理の細胞周期は S期が 最も感受性が高い。G2期やM期でも高いが、S期が一番だとか。核合成していて、温熱の影響をうける核の体積が相対的に大きいからなのだろうか。。? 逆に何度も連続して行っても熱耐性を持っている為に、熱たんぱくによる防護によって、効果が薄れてしまう。1~3日空けた方がよい。 また、血流の多いところだと、血流に載って熱が逃げてしまうので、なるべく逃げ場の無い腫瘍に向けて攻撃した方が良い。(お湯につかると熱が循環してしまう) 温熱療法と放射線治療を併用するケースもあるが、照射後に加温した方が治療効果が高い。特に2時間後くらい。(3時間前でも可能) 身体の一部を温める為にはマイクロ波か電磁波を用いて加熱する。マイクロ波を照射出来るデバイスで両側を挟むことで治療を行う。ただ、たまにしか効かないので最近はあまりやられなくなった。

放射線セシウムは風化黒雲母が固定(Huffington Postより)

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出典: Huffington Post より 放射線セシウムは黒雲母が固定(Huffington Post 2014/11/19) 以前 CNICさんにお邪魔した時 、飯館村の土をNaIシンチレーションカウンタで調べたら20000Bq/kgで0.2~0.3μSv/hの線量率を計測しました。 福島原発の周囲は原発由来のCsが土壌に付着していて、その為に作物などが汚染されているのではないか?ということで風評被害が問題になりました。 ただ、実際には一核種のエネルギーだけで見れば、人間の身体に一定量含まれている40Kの方がエネルギーが高いし、Csも土壌内の電荷を持つ鉱物によって大部分が固定されている為、作物が吸い上げる割合はそれ程大きくはないのではないか、と言われています。 この記事はそれと同じ原理でCsを固定することで除染をすることが出来るのではないでしょうか?(以下、訂正追加)ただ、雲母だと、イオン化するように思えないので、何らかの形で吸着しているのかも知れません。 イメージングプレート(IP)オートラジオグラフィーと呼ばれる放射線検出の手法を改良して、阿武隈山地の福島県飯舘村から採取した土壌を微細に解析した。数十ミクロンメートルの土壌微粒子の中から、IPを感光させた放射性微粒子を特定し、放射性セシウムを固定している多くの微粒子の正体を初めて明らかにした。これらの微粒子を電子顕微鏡内に移動させ、その形態や化学組成を調べた。 一連の解析で、放射性セシウムは風化黒雲母に多く固定され、この鉱物中に均一に存在していることを確かめた。室内実験でも、風化黒雲母はセシウムをよく吸着することが報告されており、その結果を裏付けた。( Huffington Post より)

放射線被曝(被ばく)の確率的影響はどうやって調べるのか?

放射線被曝によって起こりうる「かも知れない」影響について考えたのが確率的影響である。 確率的影響は、被曝線量が増えればもちろん起こり易くはなるが、どの値を越えると発生するというしきい値はなく、重篤度も線量にはあまり関係がない。 たとえば、確率的影響のメインとも言えるのが発がんであるが、被曝してもがんにならない人もいるしなる人もいるので、確定的には起こらない、と考えると確定的影響とも区別がし易いだろう。 がんの発生確率は基本的にリニアに考えるが、白血病の場合はある時期から急速に発病率が変化するLQモデルを採用する。2~3年後から発病、7年後に発病のピークにいたる。 また、他には寿命短縮(人間では検証されていない)や、再生不良性貧血(骨髄へのダメージで起こるが、放射線以外でもおこりうる)も考えられる。 90SrやAmなどアルカリ土類金属系は特に骨に集まり易く、半減期も比較的長い傾向にあるので、晩発影響として再生不良性貧血になることが考えられる。 各身体的・遺伝的影響に対するリスクの考え方は、過剰相対リスクと過剰絶対リスクがある。 線量に対するリスクの考え方 影響の発生率を推定する方法は直接法と間接法の主に二つある。 直接法とはネズミ等の動物実験によって発生率を確認する直接法と、自然発生率が倍になる倍加線量を評価する間接法の二つがある。この倍加線量は、様々な影響で突然変異率が倍になる線量を1Gyと設定している。 確率的影響は、これまでの放射線事故などの事例研究をもとにしていて、80年代のチェルノブイリや70年代のスリーマイル、戦時中の広島・長崎の原爆の調査などをもとにしている。(因みに広島・長崎の原爆による被曝では遺伝的影響は無かったと考えられている。) 影響リスクの原因になるのは、物理的因子と生物学的因子がある。 ・被曝年齢:若い人の方が細胞の放射線感受性が高くリスクが高い。 ・性別:女性の方がホルモンの影響等で発ガンリスクが相対的に高い。特に乳がん。 ・遺伝的背景:発ガンリスクの高い遺伝子(BRCA1の異常等)。毛細血管拡張症の因子があると例えば遠隔転移し易いリスクがある。 線量率も影響があると考えられ、ICRPによって、高線量率の被曝/低線量率の被曝における比率は2と仮定されている。(DDREF:Dose-D...

放射線の生体高分子への影響

放射線がDNAや酵素といった生体高分子に損傷を引き起こす場合、 直接作用 と 間接作用 がある。 直接作用 とは、放射線が文字通り生体高分子に直接作用(電離あるいは励起)し、高分子に損傷が生じる場合のこと。 間接作用 とは、放射線が水分子への直接作用で生じた フリーラジカル(遊離基) が生体高分子に作用する場合のことをさす。 フリーラジカル とは、水分子が電離、励起したことで生じるOH・やH・などのことである。 <ラジカルの生成> H 2 O++H 2 O→H 2 O++OH・ e-+H 2 O→OH-+H・ <ラジカル同士の結合> H・+H・→H 2 OH・+H・→H 2 O OH・+OH・→H 2 O 2 細胞内には水が多量に含まれているので、 低LET放射線(X線、γ線、β線) の場合は、間接作用の割合の方が直接作用より大きいが、 高LET放射線(中性子線、α線、重粒子線) の場合は直接作用が主である。