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腰椎:前屈位撮影・後屈位撮影

腰椎には生理的湾曲があり、焦点間距離が一定でない。従って、これを調整する為に前屈みになるか後ろに身体をそらすかして、湾曲を補正しないといけない。 ポジショニングする時、患者さんの腰回りを持って調整すると思う。 前屈位撮影 体位:立位・座位または側臥位で両下肢を下垂。可能な範囲で胸腰部を前方へ屈曲 側方から見た時、胸部側と骨盤部側がねじれていない(回旋していないことを確認) 両サイドどちらかに回旋していると、きちんとした腰椎像が確認されない。 後屈位撮影 体位:立位・座位または側臥位で両腕をくみ、上半身を背面に可能な範囲で傾ける。視線も上方を向く。 立位の場合は、膝を進展、側方から見た時、胸部側と骨盤部側がねじれていないことを確認する。=真側面かどうかを確認する。 (身体がねじれていないかどうかはCTやMRIの時も確認する。軸がずれていると、CTやMRIの撮像中心がずれてしまうから。見慣れている画像は全て体軸が正中線上にある状態で撮影している) 確認点:L1〜L5にかけての椎体前面に沿ったラインとL1~L5にかけての椎体後面に沿ったラインが滑らか。

アナログ写真の定着・水洗

これ元ネタを書いたのは去年の今頃だけど、国試にも数少ないけど出る可能性はあるから、復習しないとなあ。 現像過程を終了し、画像として固定させる為に、定着・水洗を行う。 <停止> 現像を定着させる前に停止の段階がある。現像の進行を適切な時間で停止させる為に酸性液によって処理する。(現在酸性液は使われておらず、自動現像機で、定着液が停止を兼ねている。) 現像の際はアルカリ溶液による還元反応が行われていたが、定着の場合は酸性液である。 <定着> 定着は還元した金属銀画像を固定する作用である。 定着液は乳剤層中に未現像のまま残っているハロゲン化銀粒子を溶かし出す作用を持っている。定着液は手動現像の際に用いる酸性硬膜定着液と硬膜剤を含まない酸性定着液がある。カラーや特殊写真では、定着主薬だけの単定着液が使われる。 ・定着液の組成…定着主薬と助剤(保恒剤・酸性剤・緩衝剤・硬膜剤・溶媒・その他) 種類的には、現像主薬と結構似ている。 ①定着主薬(fixing agent):チオ硫酸ナトリウム(Na 2 S 2 O 3 )、チオ硫酸アンモニウム((NH 4 ) 2 S 2 O 3 ) …ハロゲン化銀をよく溶かす性質がある。毒性がなく、安定した化学物質で扱い易く保存性もよい。 ②保恒剤(preservative):亜硫酸ナトリウム(Na 2 SO 3 )亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO 3 ) …定着主液の分解を抑えて、液を長持ちさせる。 ③酸性剤(acid):酢酸(クエン酸・酒石酸)・酢酸ナトリウム …現像を確実に停止する。現像ムラや二色カブリなどを防止。液を弱酸性の一定pH領域に保つ。 ④緩衝剤(buffering agent):ホウ酸(H 3 BO 3 )メタホウ酸ナトリウム(NaBO 2・ 2H 2 O) …液のpH変化を抑える。酸性剤だけでpHを適正な範囲に保つのは困難なので、緩衝剤で調整する。 ⑤硬膜剤(hardening agent / hardener) …フィルムのゼラチン膜を硬化して、後の水洗での膨潤・軟化を抑え、膜面に傷を付けにくくし、乾燥を早める。 ⑥溶媒(solvent) 一般に水が用いられ、出来るだけ不純物がないことが望ましい。 調合の方法 <水洗/乾燥> <保管> 低温低湿:2...

X線写真の撮影原理①【X線が出来て、被検者を透過するまで】

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光や電磁波などを被験者に照射、返ってきた二次信号をフィルムやイメージングプレートなどの被写体に検出させて、アナログ・デジタルいずれかの形で画像にする。 wikipediaより成人男性の胸部写真 アナログの場合は、フィルム内に広く分布するハロゲン化銀と光電子の化学反応により、 潜像を形成するため、物質的な要素が多いが、デジタルの場合は返ってきた二次信号に対して演算処理を行う。 先日お邪魔したAZE展を見る限りだとデジタルによる画像編集技術が非常に発展してきており、 ぶっちゃけコンピューターが使えないと仕事にならない 、話にならないという話を伺った。 それでも、やっぱり 「手書きの絵が下手な人がいきなりデジタルで絵を描こうとするとやっぱり下手」 というのと同じで、その人の本質的な技量はいかに線量を的確に設定し、必要な撮像条件を確保して撮影出来るかというところにあるので、アナログ写真の知識は欠かせない。 写真に用いるX線量を規定するのは、①どれだけの熱電子がフィラメントから放出されているか②その熱電子が陽極に衝突してどれだけクーロン力で制動されるか③産生された制動X線が被験者に照射されてどんな風に減弱するか にかかっている。 ①には、X線管にかかる管電圧、熱電子量の基準となる管電流 ②には、制動する陽極の原子の種類(原子番号Z):内殻電子数が多い程よく、W(タングステン)が主に用いられ、MMG(マンモグラフィー)の場合は、Mo(モリブテン)がよく用いられる。 ③には、被験者の身体の大きさ、特徴によって決まる。 ③は特に、 I=I 0 e^-μd(I:透過X線のエネルギー I 0  入射X線のエネルギー μ:線源弱係数 d:物質の厚さ)の式で規定される。

X線ラジオ装置の搬出・搬入を見学しました。

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学校でX線ラジオ装置の搬出・搬入が行われるということで、学生も立ち会いにくれば?というので、やってきました。 なかなか面白かったです。特にI.I.(イメージインテンシファイアー)の実物を見て、イメージを持てたのは大きいです。理論上は分かってもやっぱりイメージ湧かないんだよね。。 東芝電子管デバイスさんから拝借 東芝電子管デバイスさんから拝借 イメージインテンシファイアーは、入射したX線を「強調する(インテンシファイ)」するものであり、電子が加速すると教科書では書かれていますよね。しかし、実は「集束させる」というイメージの方が実態としてはあっています。。 というのは、今回搬出されていったイメージインテンシファイアーは、入射したX線を、12インチの幅から1インチの幅におさめています。これは、そのままの幅では 検出されるX線があまりにもぼんやりしていて、画像としてはっきりしていない からだそうなんです。 それを小さい枠に収めることで輝度を高め、画像としての質を高めるのがインテンシファイア(強調するもの)としての役割なのだとか。。 また、搬出のときも一つ一つバラバラにして持っていくのですね。高電圧変圧器の箱、アナログの撮影ディスクセット、操作するコンピュータ、寝台などがバラバラに解体されて、一つずつ運ばれていきました。 コンデンサも新しいMacのハードディスクみたいな感じでかなりいかつかったですw 注:画像はイメージです。

ハロゲン化銀が写真のもとを作るまで

乳剤の中に含まれているハロゲン化銀が写真のもとを作っている。 無色〜黄色 で、 溶解度は0.97~3.4×10-4g/㍑なので、水にほとんど溶けない 。 この性質が写真の定着・水洗の際に必要な要素になってくる。 粒子の形は、六角形か三角形に近く、ひらたい平板状か、まるい球状か、立方体の形を している。そして大きさは0.1μm〜数μmの大きさである。 球状粒子 :直接撮影用X線フィルムのレギュラーフィルム(現在ではあまり使用されない) 平板状粒子 :直接撮影用X線フィルムのオルソフィルム 立方体粒子 :レーザーイメージャー用フィルム また、写真で使われるハロゲン化銀はいくつかの質量数の異なるハロゲン元素が混じっており、それがもとになっていびつな形をしているため構造のゆがみが生じている。(妖臭化銀結晶)これが、写真の感度や階調にも影響している。 では、水に溶けず、いびつな形をした結晶のせいで写真感度もいいというこのハロゲン化銀は一体どうやって感光していくのだろうか。 ① 電子過程 :光の吸収で光電子が出来る。光電子が増感中心などの電子トラップに捕まる。 ② イオン過程 :負に帯電した増感中心は、格子間の銀イオンと結合する。 →②の繰り返しでだんだんと銀原子が追加される。 ③②が継続することで、銀原子が集まり、ハロゲン化銀→金属銀へと還元されていく (現像中心) この3つのプロセスを繰り返していくことで写真ができていくのだ。 一方で何らかの外的環境変化により潜像が消えてしまうことがある。(長い間湿気とか太陽光のあたるところにおいたりすると) これを 潜像退行 といい、高温・高湿下において特に著しい。

写真の基礎

最近の病院の現場では、ハードディスクにレントゲン写真を取り込むケースが多くなっておりますが、銀塩写真のフィルムを使っている場所も残っているそうです。 その為、診療放射線技師となる為には、「そもそも写真とはどんな仕組みで作られるものなのか?」について知っておく必要があるそうです。 そもそも、写真の特徴にはどんなものがあるでしょうか?? これには、以下のことが挙げられます。 1被写体を構成する空間的な分布を正確に視覚的に認識可能 2誰でも見られる。 3記録・表現する時の時間設定が出来る。 4直接目視出来ない物体・内部構造を記録表現できる。 一見、写真というと、フォトブックやアルバムを連想しそうですが、4だけ見ると 放射線の画像診断のことかなーと思ってしまいますね笑 しかし、放射線画像も実は写真のカテゴリーの一つです。なぜなら眼に見えない光 (X線・γ線)を用いて、眼に見えない人体内の様子を画像にするからです。 人に見せられる写真(ポジ画像)を作るまでのプロセスとして ネガ・ポジ法、直接反転法、現像反転法、拡散転写反転法などがあるが、基本的なところ は原理は同じです。 (写真の基本プロセス) ①光やX線が照射され、被写体の姿を、放射エネルギーの分布によって映像として感光材料に投影する。(撮影・露光) ②感光材料が受け取った放射エネルギーを強度や波長の違いで化学変化を起こす。その際にできた眼に見えない像を潜像という(latent image)(感光・潜像形成) ③潜像が形成された感光材料に、化学的な処理(水洗・定着)を加えて眼で見える画像にする。(現像処理:画像形成・画像固定)