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放射線スペクトルデータをWeb上で閲覧出来るSPViewerについて

先日、Safecastの4周年のイベントがあり、NHKのスーパープレゼンテーションにも出演される伊藤穣一さんなどの講演を間近で聞くことが出来る会に参加しました。色んな形のGM計数管装置などもあり、様々な海外の計測器、仕組みについて見ることが出来ましたので、そのうちブログで紹介すると思います。 その際に少し、出てきたものの紹介。 http://www.mikage.to/radiation/spviewer/ http://safecast.media.mit.edu/radangel/spviewer/ SPviewerは放射線測定器のスペクトルデータをWeb上で表示できるツールです. 放射線測定器では、身の回りの放射線の強さを調べています。時系列でエネルギーの偏りを調べて、どのエネルギーが一番多いかを調べることが出来ます。測定器には計測するセンサーがあり、そのセンサーで検知した放射線の数をもとに放射線の強さを調べています。 しかし、測定器がそれ自体で完結していて、データをパソコンに取り込む方法が分からないことがありませんか?  個人や民間の方が放射線測定器で調べたスペクトルをよく画像等でネット上に公開していますが、SPviewerを使えば、PCのソフトウェア上で生のデータを取り扱うことが出来、拡大、縮小、比較、再解析を行うことが出来ます。 皆さんが自前の測定器で計測されたスペクトルデータがあれば、SPViewerに取り込んで頂ければ、無料で解析頂けますし、Webページにアップして使うことも出来ます(MITライセンスで配布)。また、Dropbox を使えば,Webページを持っていない方も簡単にスペクトルを公開できます。 以下がより専門的な使い方は、SPviewerで出来ることです。 対応機種のスペクトルデータの表示 片方をバックグラウンドとして,2つのスペクトルデータの比較・差分表示 最大5つまでのスペクトルを比較表示 スペクトルグラフの拡大表示・対数表示 スペクトルの付随データ(計測時間や検出核種)の表示 カーソル位置のチャンネル番号・エネルギー・cpsの表示 カーソル位置近傍のエネルギーを放出する核種の表示(上位5件) 1スペクトル表示時:選択範囲のグロスc...

Iの放射性同位体

Iは数多くの放射性核種が存在しており、それぞれ半減期や使用用途が様々あるので、チェックして覚えておこう。 123I…半減期13.2235時間 SPECTなどのγ線放出核種として用いる。in vivoで検査する際に用いる。脳血流、甲状腺機能、心機能、血流など。 125I…半減期59.4日…ラジオイムノアッセイ(免疫活性検査)に使用。 127I…同位体。 129I…β壊変核種。 131I…バセドウ病などの甲状腺治療。

放射平衡の一例

永続平衡が成立する場合、 N1λ1=N2λ2…その放射能比は1 ウラン系列核種は永続平衡にあるので、238U、222Rnにおいて 放射能比は同じ。 例:A(222Rn)=A(238U)=1.2×10^4[Bq/g]×234[g]=2.8×10^6[g] 放射平衡が成立するのは、親核種の半減期(T)が娘核種の半減期(T)より長い時。 42Ar(半減期:32.9年)→42K(半減期:12.4時間)→42Ca(安定) 42Ar-42Kジェネレータとして使用。 132Te(半減期:3.20日)→132I(半減期:2.30時間)→132Xe(安定) →132Te(はいよもっかいいけや〜って感じで ミルキング が出来る) 140Ba(半減期:12.8日)→140La(半減期:1.68日)→140Ce(安定) 235Uの熱中性子による核分裂では、亜鉛のRIの72Zn~テルビウムのRIの161Tb まで原子番号30~65くらいまでのRIが出現する。 全てのアクチノイド元素は放射性である。Bi以上の元素は安定核種がなく全て 放射性。 全てのランタノイド元素は遷移元素(周期表の3~11の族のもの:ランタノイド=3族) 安定同位体が存在しない核種 Tc,Pm,U。

Safecastが始まった経緯(Vimeoより)

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Safecastという活動を知っていますか?最近オープンデータを使った市民団体の活動が盛んになっていますが、Safecastは3.11直後に始まった線量計測のオープンデータ活用事例の一つです。 Safecast MiniDoc | by Adrian Storey from Safecast on Vimeo . http://vimeo.com/88977637 日本語の字幕も今後出て来る予定なので、是非見てみて下さい!

相対誤差を調べる方法

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どれほど正確なサーベイメータであっても、試行実験ごとに同じカウントを示すことは考えられず、何らかの変動が存在する。測定が正しく行われた上でなお偶然に起こりうる誤差を 偶然誤差 、測定器の性能によるばらつき、実験条件によるばらつきを 系統誤差 と呼ぶ。 偶然誤差は測定を長時間行うことで小さく出来るが、系統誤差は時間をかけてカウントを増やす程誤差が広がる。GM計数管の数え落としがまさにそれである。カウントを増やせば増やす程、数え落としが急激に増加する。  これらの誤差の割合を平均化したものが標準偏差であり、標準偏差のカウント全体に対する割合を示したのが相対誤差である。 GM 計数管のレスポンスの相対誤差の許容範囲は JIS Z4202 によれば、下記の通りとなる。  計数管の有効体積 (mm3) 許容範囲 (%) 500 以上 ± 10 500 未満 ± 30   計数値 n に対する標準偏差σ、相対誤差σ R は以下の式で表される。 ( σ : 標準偏差  n 0 : 真の計数値  n i : 各回で試行された測定値   n: 計数値  N: 試行回数 σ R : 相対誤差 ) 上記の式は沢山の試行回数を伴う事象に対応した式であるが、計数率を調べる際には、標準誤差を計測値の平方根に直して考える。  (n: 計数率 σ : 標準偏差  N: カウント  t: 測定時間 ) ここで1分間あたりの計数率を R[cpm] とおくと、 上式より、 とおくことができる。  相対誤差は少ない方がより正確に計測出来るサーベイメータである。 また、加減乗除する計測値同士の誤差については、以下のように考える。

放射線セシウムは風化黒雲母が固定(Huffington Postより)

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出典: Huffington Post より 放射線セシウムは黒雲母が固定(Huffington Post 2014/11/19) 以前 CNICさんにお邪魔した時 、飯館村の土をNaIシンチレーションカウンタで調べたら20000Bq/kgで0.2~0.3μSv/hの線量率を計測しました。 福島原発の周囲は原発由来のCsが土壌に付着していて、その為に作物などが汚染されているのではないか?ということで風評被害が問題になりました。 ただ、実際には一核種のエネルギーだけで見れば、人間の身体に一定量含まれている40Kの方がエネルギーが高いし、Csも土壌内の電荷を持つ鉱物によって大部分が固定されている為、作物が吸い上げる割合はそれ程大きくはないのではないか、と言われています。 この記事はそれと同じ原理でCsを固定することで除染をすることが出来るのではないでしょうか?(以下、訂正追加)ただ、雲母だと、イオン化するように思えないので、何らかの形で吸着しているのかも知れません。 イメージングプレート(IP)オートラジオグラフィーと呼ばれる放射線検出の手法を改良して、阿武隈山地の福島県飯舘村から採取した土壌を微細に解析した。数十ミクロンメートルの土壌微粒子の中から、IPを感光させた放射性微粒子を特定し、放射性セシウムを固定している多くの微粒子の正体を初めて明らかにした。これらの微粒子を電子顕微鏡内に移動させ、その形態や化学組成を調べた。 一連の解析で、放射性セシウムは風化黒雲母に多く固定され、この鉱物中に均一に存在していることを確かめた。室内実験でも、風化黒雲母はセシウムをよく吸着することが報告されており、その結果を裏付けた。( Huffington Post より)

GM計数管のあれやこれ

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あんまりまとまっていないのですが、素材としてとりあえず挙げておく。 γ線の方向依存性と感度についてと距離の逆2乗則です。レポートに使いたい時はフリーでお使い下さい。(線量率のデータは実測値なので、そのままぱくってはだめだよw)

世界中のスマホで宇宙線を調べるプロジェクト

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Gigazine に面白い話が載っていたので掲載。 出典: NASA Marshall Space Flight 空から降り注ぐ宇宙線をスマホで調べることが出来るプロジェクトが進んでいるそうです。 PANTONEのスマホがSi半導体を用いてγ線の線量を測定することが出来るのは知っていたし、FPDも半導体なので、スマホでも出来なくはないだろうと思いましたが、、 そもそも宇宙線って何だっけ? 出典: 東京大学宇宙線研究所 超新星爆発を起源として地球にまで到達している粒子あるいは光子であると考えられています。主に陽子線が多く、中性子、π粒子、μ粒子、電子などで構成されています。 ( 14 Cは宇宙からの中性子線により一定数存在している。反応は14N(n,p)14C この14Cの半減期5700年を使って年代測定が行われたりする。) 宇宙に関するさまざまな情報を把握する為に、この宇宙線を解析することで宇宙の謎の解明につながると期待されています。 <以下 Gigazine より引用> 地球に到達するほとんどの宇宙線が太陽系内の強力な磁場によって進路を曲げられ発生場所の情報を失っているのに対して、100平方キロメートルあたり年1回しか降ってこない最高エネルギーの宇宙線は宇宙空間の磁場によって進路をほとんど曲げられることなく地球に到達するため「情報の宝庫」として宇宙空間の高エネルギー天体現象の解明に大きく役立ちます。 しかし、その希少性のせいで観測データが思うように集まっていないのが実情とのこと。 <引用終わり> スマホで宇宙線が計測出来るとか胸が熱くなりますね。 そういえば、自転車で福島を走り回り、放射線量データをマッピングするプロジェクトもありました。 出典: Fukushima Wheel <参考> 世界中のスマホで「宇宙線」を地球規模で観測するプロジェクト「CRAYFIS」 (Gigazine) Crayfis公式サイト Observing Ultra-High Energy Cosmic Rays with Smartphones.pdf 炭素14(CNIC) 宇宙線とは(東京大学宇宙線研究所)...

GM計数管のプラトー特性:スケーラーを使って

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  GM計数管の実験を行いました。こちらにその概要を書いておきます。 参考記事: GM計数管のあれやこれ 、 気体電離の検出器 GM 計数管には一定の印加電圧下において計数率が一定となる領域 ( プラトー ) が存在すること   プラトー領域を基準にした線源の測定、判別が行えること GM 計数管の基本原理   GM 計数管 は電子なだれによる気体増幅を用いて放射線を検出する計測装置である。主にβ線源の計測に有用であり、α線やγ線の電離計測も可能だが、飛程の長さによって、遮蔽を変化させなければならない。 出典: 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 HP 本実験では、入射窓を薄い雲母(数 mg/cm 2 )で封じた端窓型を用いる。中心電極と壁材との間に 700~1000V 程度の電圧を印加しており、入射窓から入った放射線が気体電離を起こすと、気体電離が増幅され ( 電子なだれ ) 、計数回路によって計数される。  放射線束の計数率は非常に高いが、出力信号が電離エネルギーと比例関係に無いため、エネルギー分解能は乏しい。計数効率を高める為に、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスとハロゲン気体や有機元素を用いた消滅ガスが封入される。                                   図 1:GM 計数管の測定原理 ( 出典:一般財団法人 高度情報科学技術研究機構 )   GM 計数管は非常に簡便な手法で作成することが出来るため、個人で機材を準備して安価に作成することも可能である。日本では、 2011 年 3 月 11 日以降、市民活動レベルで、個人線量測定に利用されるケースが増え、 safecast という個人線量測定のデータマッピングや utsunomiya.com という個人の開発者が自作した GM 計数管のノウハウなどが公開している。  また、医療現場でも、放射線治療を扱う施設において放射線汚染を防ぐ為に各所に計数管が設置されている。   (2) プラトー特性   GM 計数管は約 1000~1300V の印加電圧領域 ( プラトー ) において、一定の計数率を示す。これをプラトー特性と呼ぶ。 GM 計...